目が覚めると、見知らぬ部屋にいた。
気絶していたのか、まだ脳が覚醒していないようで、目の前がぼんやりと滲んでみえる。動こうとするが、足には何も付いていなくて立ち上がることができない。それに、腕にも何か手錠のようなものが付けられていて、頭の上に揃えるように固定されていた。
一体自分の身に何が起こったのかまるで理解できない。ここで目覚めるまでの記憶を辿ってみようとしたが、どうにも思い出せない。思い出せるのは、自分の名前といままでの生い立ち、昨日までの記憶だ。
俺はガントレットの競技中に、新記録が出したくて足元でグレネードを爆破させた。あの時の光景は忘れられない。観客たちが色んな表情をして、その視線が全部俺に注がれていた。後にも先にも、あの時の興奮を越える出来事はないだろう。それから、足を太腿あたりから切断することになって、シェの姉貴に義足にするように勧められた。ここから先は、思い出したくもない出来事が続いた。
4860