歓迎会「姜維、俺達と一緒に帰ろうぜ」
鞄に教科書を詰めた頃、突如前の席から笑顔で衝撃の言葉を告げられた。鳳凰学院から大徳工業へ編入し一ヶ月、未知の経験に戸惑うしかない。
「……あの、申し訳ありません……生徒会長に所要がありますので」
遠回しに、なるべく穏便に断ろう。この学校では、周りと一定の距離を置くと決めていた。
同じ誤ちは、繰り返さない様に。
「……それなら、終わるまで待っていれば良い」
斜め前の席から静かに、信じ難い返答が聞こえた。肩先まで伸びた亜麻色の髪が陽に煌めくと、逆立てた栗毛を揺らし更に笑顔が近づいてしまう。
「そうそう、だから全然気にすんなよ……ここで待ってるからな」
「え、あの……はい……では、一度失礼します」
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