許して、とかそけしい訴えが耳に届いた時、相澤は全身が燃え上がるのを感じた。全く身勝手な興奮だった。心操を追い詰めたのは自分の手管で、彼がそれを受け入れ、認め、全権は相澤の手の中にある。たとえ錯覚だとしても、眼下に見おろす若く立派な肢体を自由に出来るのだ。
日頃相澤は、年長者であり元指導者という立場から、心操への振る舞いが支配的にならないよう気を付けていた。同じ夢を志した者、あるいはパートナーとして尊重したかった。
その反動だろうか。恋人同士の睦み合い、無防備に肌を重ね心を曝け出すさなか、心操が抵抗を見せると抑え付けたくなる衝動がある。俺のことが好きなんだろう、嫌がらないでくれ、お前が好きでどうしようもなくなってるのを、どうか受け止めてくれ。
心操の肩を上半身ごと使って押さえ込んで、相澤は自分の傲慢に嫌気が差しながらも、玉の汗が浮かぶ項に顔を埋めた。