氷に乗る前はヤメテ「ヴィクトル。僕、貴方に隠してたことがあるんだ」
ロシアではまだまだ寒さが残る4月の始め。突然の告白に俺は氷に乗せようとしていた足を引っ込めた。
「なんだい? もしかして冷蔵庫の奥にチョコレートを隠してて毎日少しづつ食べてる事?」
「なんで知って……。や、それは、そうだけど、違くて」
逸らした視線には罪悪感と何か別の感情が薄らと浮かんでいる。
「他には、そうだな。勇利の部屋のクローゼットにカップ麺が隠してある、とか。安心して、まだ食べてないって分かってるからね」
逸らしてた瞳がショックを纏って俺を射抜いた。
「あー……」
どうせ来週、俺が出張でいない時に食べるつもりだったんだろう。この子ブタちゃんめ。
「俺は勇利がどんな告白をしてきても動じないよ。他にもあるならこの際、洗いざらい話してスッキリしておきなさい」
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