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    美枝mie

    成人済 hdavhdを書きます
    書くものは、hdavの表現が多め
    雑食で、左右どちらも有り得ると思って書いておりますので、苦手な方はご注意ください。

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    POIPOI 47

    美枝mie

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    hdav 復活if
    復活したそばから、hd様が苦労する話

    hdl復活if 1/4強く強く、呼ばれた気がした。

    眼を開くと、最期に見たのとは似ても似つかぬ光景だった。
    何処までも広がる蒼天の代わりに、薄暗くゴツゴツとした岩の天井。
    確かに同じ男の顔が間近にあるが、凛々しく悠然とした大勇者とは打って変わり、髪はダラリと乱れ、髭もまばらにはやしたまま、眼鏡も無く顕になった目元には隈が刻まれている。
    姿勢を保つのも辛いのだろう、俺の顔の横に付いた腕で身体を支え、覗き込むようにしている。
    その必死の表情は、若き勇者の頃のこいつを思い出させた。
    一瞬、、眼が合う。
    ふっと眼が細められ、微笑んだと思った。
    が、その眼がもう一度開かれる事はなく
    俺の胸の上に、力を失った身体が崩れ落ちてきた。

    「アバン!!」
    思わず声を上げアバンを支えようとするが、腕が上がらない。
    その時気付いたが、身体の自由がほぼ失われていた。一度は粉々に消え去った物を復活させた為だろうか、脚などは感覚が失せ、そこに有るのかどうかも分からない。
    「おい!アバン!」
    声をかけてみるが、全く反応が無い。
    血の気のが失せた肌は紙のように白く、ぐったり腕を投げ出している。
    人間の体調など判別出来ぬが、相当に弱っている事は分かった。

    カッと頭に血が上る。

    またか!
    またなのか?
    またしても、生命を投げ出したのか?
    なんなんだ、コイツは!
    一体何を考えておるのだ!
    元魔王を甦らせて、自分は死にかけているだと?
    ふざけるな!

    己の命が助かった感動や感慨が有っても良さそうだが、今はどうでも良かった。

    このまま死なせてなどやるものか!!
    何を考えてこんな事をしたのか、納得いくまで問い詰めてやる!


    だが、どうする?
    俺は回復呪文は使えん。

    助けを求めるか?
    アバンの危機であれば、助けようという人間はいくらでもおるだろうが、ここが何処なのかも、今がいつなのかも分からぬ。
    こいつが生きているからには、大魔王を倒すのには成功したのだろうが。
    そもそも、立つことも出来ない今の状態では、ここから出ることさえ不可能だ。

    比較的自由になる首を動かし、辺りを確認する。
    まず目に入ったのは、辺りに散らばるおびただしい数の、フェザーや魔法薬が入っていたであろう空の小瓶。
    アバン自身の魔法力では足りない分を継ぎ足し続けながら、蘇生の術を使ったのが見てとれた。
    この、愚か者が、、!
    理論上可能かも知れんが、そんな真似を人間がすれば、どれだけの負担が掛かることか。

    他には何か、、
    至る所に薬品、魔導書、よくこんな物が地上に有ったのかと思う様なアイテム、よく分からん器具。
    どこかザボエラの研究室に似ておる様だが、彼奴とは全く違う清浄な気配が空間を満たしていた。
    ここはアバンの作った部屋だ。何処かでそう感じた。

    何か使える物は無いのか?
    ええい!これほど大量のアイテムがありながら、用途が全く何か分からん!
    ふと、、視界の端に、見覚えのある草が映る。
    薬草。あれだ。
    岩壁に造りつけられた、棚の上に並べられている。
    しかし、どうしたものか、
    たった数歩先がやたら遠く感じる
    呪文を当てて落とせるか?
    いや、今の状態では威力のコントロールも狙いも覚束ない。
    失敗すれば、薬草など簡単に燃え尽きて終わりだ。
    くそっ!

    ん?
    胸の上にアバンの重みを感じた。
    先程まで、ほとんど何も感じなかったはずだ。
    腕に力を込めてみる。
    動け!
    だらんと伸ばしていた指が少しずつ曲がり、拳を作る。ゆっくり開く。
    何度も開いて握って感覚を確認する。
    よし、いいぞ。やはり回復してきている。
    徐々に動きを取り戻す。
    手首、肘も曲がった。
    肩も、自由にとはいかんが、動かせる。
    脚は、、まだだな。力が入らん。

    この分だと、しばらく経てば動けるようになるか?
    何度も腕を動かし確認していると、上に乗っているアバンに当たった。
    頭がぐらりと傾き、うつ伏せて隠れていた顔が、現れる。
    その顔には生気が感じられない。呼吸も弱い。
    今にも、消えそうに見えた。

    俺が立てる様になるまで、待たせておける時間は無い気がする。

    くそっ!
    アバンを身体の上から退けると、ガッと地面を掴み、引き寄せる。
    手間をかけさせおって!
    腕の力で、這って進む。
    目を覚ましたら、怒鳴りつけてやる!
    腹側が地面に擦れて、血が滲んだ様だが、どうせ痛みもない。
    なんなんだこいつは!
    何故!いつもいつも!俺の前で死のうとするのだ!
    怒りに任せて前へ進んだ。

    壁際まで辿り着いたが、棚の上まで手が届かない。
    手を掛けよじ登ろうとするが、身体が重く持ち上がらん。
    力の入らぬ下半身がひたすら邪魔だった。

    ガアッ!!
    ジャキッと拳をから爪を伸ばすと、岩肌に突き立てる。
    渾身の力を込めて、身体を引き上げながら、もう片方を棚に向かって振り上げた。
    ガシャーンッ!!
    棚板が破壊され、派手な音を立てて、乗っていたものが落ちて来る。
    よし。
    頭の上に落ちて来た薬草を持てるだけ掴む。
    水の入った皮袋も見つけたので、それも持つと、アバンの所へ戻った。

    ハァッ、ハァッ、、
    疲れた。身体が不自由なばかりでなく、体力も少ない様だ。
    どうせなら、きちんと完全回復させておけ!
    目の前で眠るアバンに毒づきながら、薬草を取り出したものの、意識が無くては食う事もできぬか。
    とりあえず水を飲ませようとするが、疲労で震える腕では上手く調節できず、アバンの顔から胸までビシャビシャになっただけだ。
    くそっ、貴重な水が、、!
    これでは駄目だ。
    こんな事では苦労して手に入れた薬草が役に立たぬ。

    今、最も自由にコントロールが効くのは首から上だ。
    グヌゥ
    唸ってみるが、他に方法も思いつかない。
    仕方ない。
    薬草を口に放り込んで噛み砕く。
    アバンの顎を掴んで口を開かせる。
    覆いかぶさる様に口を押し当て、薬草を流し込んでやる。

    くそっ!上手くいかん
    ダラダラと溢れている方が多いのではないか?
    ゲホッ!ゴホッゴホッ!
    しまった。
    アバンが咽せてしまった。慌てて身体を横にしてやる。

    くそっ!俺はこんな事、やったことがないのだ
    正しい方法が分からん!
    こいつなら、アバンなら、上手くやるのだろうな。

    アバンを見れば、口元にはベタベタした緑の物がまとわりつき、髪からは先程の滴を垂らし、咽せたせいでヒューヒューと呼吸を荒くしている。
    状況は悪化している気がする。

    俺は一体何をしているのだ。
    殺してやりたいほどの怒りを感じる相手を、絶対に死なせるものかと、右往左往している。なんたる矛盾。

    いつまでも口の中に薬草を入れておく訳にもいかず、余った分は飲み込んだ。
    何かが、喉を食道を通り過ぎていく感覚は久しぶりだった。
    ああ、俺はやはり生きているのだな。ふと、そんな事を考える。
    薬草は俺にも効く様だ。
    ほんの少しだが体力が戻った気がする。

    落ち着け。
    今はこの馬鹿を生かす事を考えろ。

    今度は飲み込みやすい様、薬草を噛み砕いた後に水も含んで薄めてみた。
    頭の下に腕を入れて持ち上げてやる。
    唇を合わせると、慎重に少しずつ流し込む。
    ゴクリ、とアバンの喉が動くのが分かった。
    よし。そうだ。
    何度も繰り返し、少しずつ飲ませてやる。

    腕だけで体勢を支えるのも限界だった。
    身体を離し、ゴロリと横になる。
    ああ、全く腹の立つ。
    生かそうとするのが、こんなにも面倒な事だったとは。
    殺すのならば簡単だ。
    今すぐ伸ばした爪を胸に突き立ててやれば良い。首を掻き切るのも容易い。口と鼻を塞ぐだけでも。
    どうとでもなる。いくらでも思いつく。

    ずっと、気に入らない相手は殺してきた。
    殺すぞ?そう言えば、弱い奴はすぐに従ってくる。
    では、死を受け入れる奴は?
    どうすれば、こいつに思い知らせてやる事が出来るのか。
    どうしても分からない。

    考えを巡らせていると、感覚の戻ってきた背中に、岩の感触が伝わる。
    ゴツゴツと角が当たる、ひんやりとした冷気が染み込んでくる様な気がした。
    目を横に向けると、先程から変わらぬ姿勢で眠るアバンが居た。
    手を伸ばし体に触れると、やはり冷え切っている。
    まずい。
    両腕をその身体に回し、胸を合わせてできる限り密着して体温を移す。
    冷たくぐったりとした身体は死を思い出させた。

    やはり、俺たちは出会ったその場で、どちらかが死ぬ運命なのか?
    いいや!そんな事は俺が許さん。
    アバンが何を思ったが知らんが、その手で奇跡を起こした。
    運命など、俺が変えてやる!
    腕の中の小さな身体を、強く抱きしめた。

    とは言え、今の俺に出来ることなど、少ししか無かった。
    薬草を飲ませて、抱きしめて身体を暖める。
    それだけだ。
    なんと無力な事か。
    それでも、さすがは元勇者と言うべきだろうか。
    何度も繰り返すうち、アバンは少しずつ回復している様だった。

    幾分か血色の戻った顔をみて、ホッとする。
    そして、怒りという物はそれほど持続しない事を知った。
    どうせ俺も今は動けない。
    アバンを抱いてじっとしていると、不思議と落ち着くのが分かる。
    ずっとそうして居たいとさえ思った。

    やはりこいつは、訳の分からない奴だ。
    魔王が勇者に何度も口付けて、抱きしめている。
    こんなクソみたいな状況を作り出すのは、神にも出来ない芸当だろう。

    なあ、アバン
    お前は俺を呼び戻して、何がしたかったのだ?
    お前の弟子たちと戦って、俺は心を知った
    己を捨てても、守りたい。そんな感情が生まれるのを知った
    かつて、お前がしたことも、少しは理解出来る気がした
    しかし、今はまた分からなくなった
    こんな事をして、なんになるのだ?
    命を掛けても俺を倒し、守りたい人々が世界があったのだろう?
    その願いは叶った
    良かったではないか

    何故、俺を生かそうとする?
    俺に何を望む?

    体力を使いすぎたか、睡魔が襲ってきた。
    眼がしだいに閉じていく。

    おい、アバン。俺が寝ている間に勝手にしんでいたら、ころす、、から、、な

    大概、俺も馬鹿だな。
    そう思った所で意識が途切れた。


    眠っていたのは、それほど長くはなかった様だ。
    腕の中で、アバンの肩が呼吸でかすかに動くのを確認して、安堵する。
    顔色も随分と良くなった様に見える。
    さすがに下に敷いていた方の腕が痺れていた。
    アバンの頭の下から腕を引き抜き、動かして血流を戻していく。

    すると、今までずっと身動き一つしなかったアバンが、まるで地面に下ろされたのを嫌がるかの様に、自分から身体を擦り寄せてきた。

    突然、
    たまらない感情が込み上げてきた。
    目の前の男が、どうしようもなく大切な存在に感じられ、ガバッとその身体を包み込む。
    ああ、俺のものだ。このまま離すものか!

    待て
    なんだ?今のは
    俺は今、何を考えた?

    慌てて回した腕を離す。

    いや、ちがう
    先程までずっと抱いていたからな。程よいサイズと柔らかさだ。少し物足りなくなっただけだ。
    うむ、大した事ではない。
    そういう事にする。しておかなければならぬ。
    俺がこいつに、そんな感情を抱くなど断じてあり得ん。

    そうだ。時間が空いてしまった。また水と薬草を飲ませてやらねば。
    体を動かし、強引に気分を変える事にする。

    もう、この作業も随分慣れて来たな。
    コツも分かってきた。
    俺が長く口に含んでいた方が上手く飲み込む。唾液が混ざって粘度が上がるのが良いのかも知れぬ。
    薬草を与える方法に思考を向け、先程の感情は忘れようと努める。

    よし、準備が出来た。
    頭を支えて、口を開けさせる。
    血色の良くなった唇が、急に艶かしく感じた。
    先刻まで、ただの面倒な作業でしかなかったはずが、やたらと緊張する。
    なんでもない。見た目が変わっただけだ。
    回復してきたなら、喜ばしいことではないか。
    なんでもない。そう繰り返して口を押し付ける。
    薬草を流し込むと、今までは反射的に飲み込むだけで、ダランと開いていた唇が、ふいに俺の舌に吸い付いてきた。
    ゾクっと背筋を何かが這い上がる。
    やめてくれ!
    ちゃんと口を閉じて自分で飲め、と何度も文句を言って悪かった。
    大人しく脱力していてくれ。

    いっそ下半身に感覚が無くて良かった思う。
    今更ではあるが、俺は最初に目を覚ました時から、ずっと全裸だ。
    それは当然だろう。身体を再生する時に服まで作られるはずはないのだ。
    必死の思いで復活させた男に欲情されていると知ったら、アバンも報われないだろう。

    随分と体力も回復した様だ。
    もう、薬草はやらんで良かろう。
    身体を離すと寒いのか、擦り寄ってこようとするので、抱いてやるのは続行する事にする。

    さっさと起きろと願っていたはずが、もうどうして良いか分からなかった。
    俺を甦らせた理由については、聞かずにはおれん。
    しかし、このまま離したくない、触れていたいという願望はもう認めざるを得ない所まで来ている。
    アバンの意識が戻れば、そんな事はできようはずもなかった。

    あと、少し。
    きっともうすぐ目を覚ます。
    こんな風に触れていられるのも、あと僅かだ。
    名残りを惜しむように、腕の中の感触を楽しんだ。

    アバンが少し身体を動かし始めた。眠りが浅くなっているのを感じる。
    忘れよう。体力が落ちていたのを少し支えただけだ。何も無かったのだ。

    そっと、アバンを地面に横たえると、
    少し離れた場所で目覚めるのを待つことにした。
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    つーさん

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