【黒大】絶対に「サームラさん」
1限が終わって講義室を出たところで呼び止められた。よく知った声に俺は態とらしく大きなため息を吐きながら振り返る。
「なんでしょうかねクローさん。おや1限はもう終わりましたよ?」
「うっ、教授のマネやめて」
「お前この講義必修だろ、今日はどうした」
腕組みして軽く睨むと黒尾は小さな欠伸を噛み殺した。
「早朝までバイト入ってて、ですね」
「寝坊か」
「だってあと1時間あるな、って思ったら寝るだろ?」
「アラーム必須だけどな。で?」
「ええっと、ノート貸して?」
「ん?」
「貸してくださいお願いします」
パン!と両手を合わせて頭を下げる黒尾に返事せずデイバッグからスマホを取り出した。
「お前さ、無茶なシフトは断れば?」
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