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    funa_314

    @funa_314

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    funa_314

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    いつもの○○の日大遅刻のやつ。
    好きな性癖両片想い混ぜたヘクジェラかき氷の話。
    本編軸にあるかどうか不明なので捏造って言っておけばいい気がしてます。

    #ヘクジェラ

    アバロンの夏は地理的なものもあってか他の地域よりも暑さが厳しい。
    意外と我慢強いジェラールであってもこの暑さは堪えるようで書類にサインをする手の動きも緩慢に見える。
    それでも何とか区切りがついたようで椅子に座ったまま身体を伸ばす。
    「これだけ暑いとなかなか進まないものだね...とりあえず今日の分はこれで終わり。休憩入れたいし何か冷たい物でも持ってきてもらおうか。」
    冷たい物という言葉に反応した護衛のヘクターが声を潜めてジェラールに近づき問い掛ける。
    「それなら折角ですからおすすめしたい物があるんですがご一緒にいかがです?」
    成人している事は間違いないのに子供が浮かべるようないたずらっ子のような笑みを浮かべるヘクターの誘いは色んな意味で甘く感じるものだ。
    仕事も終わったのだから多少のお目こぼしは貰えるだろう。
    了承の意をヘクターに伝えてジェラールは城下におりることにした。




    店先に並ぶのは色とりどりの液体。
    その液体を刃物で細かく削った氷の上にかけて楽しむ民の姿が周囲には見られた。
    「かき氷?」
    「砕いた氷に甘い砂糖を溶かした水をかけて食べるんですよ、庶民の間じゃ暑い時期には手軽に食べられるデザートみたいなもんですかね。」
    「へえ...!」
    とても簡単な作りではあるが氷をそのまま食べるのであれば今日のような暑い日にはさぞかし美味しいのだろうし、かける液体も自分の好きな物をかけられるとあってかそれを食べる子供達も楽しそうだ。
    「果物の味がかかれているけど...?」
    「あーそれはですね、色に似た名前が付いてるだけで味は全部一緒なんですよ。オレも子供の時に食べ比べてどれ食っても同じ味って確認したんで。」
    「面白そうな事やってたんだね。」
    「好奇心はそれなりにあるんですよ」
    そのおかげでジェラールも様々な恩恵を受けられていると言っても過言では無い。ヘクターには面倒をかけているとも思うがいつものように甘えさせてもらおう。
    さてどの色をかけてもらおうかとジェラールは並ぶ瓶をじっくりと見ていく。
    好きな甘い果物の色といえば赤もいいし、自分の瞳の色の緑も気になる。
    だがそれ以上に気になるのは空のように青い色。どうやったらこんな色を出せるのか不思議だ。
    じっとその青を眺めるジェラールに気がついたのかヘクターが店主に1つ注文をしてくれた。
    「食べられる植物から色だけ抜いて着色してるとか聞きますね、その現物は流石に見た事ないですが。」
    「ヘクターでも見てないんだ。書物では染色についての話は見たけど…私もいつか遠征の時に見られたらいいな。」
    「その時はオレもご一緒させてくださいね。」
    「それは勿論。大変なことも多いけど楽しみが出来たね。」
    まだ見ぬ存在に出会える事はもちろん、ヘクターが自分に同行してくれて同じ出来事を思い出としてくれる事も。
    今日この日の出来事も一緒に過ごした思い出として自分の中で何度も思い返すのだろう。
    そうこうしている間に出来上がった物は山のように盛られた氷の粒の上に青色がかかった涼し気な氷菓だ。
    今日の晴れた青空に浮かんだ雲と同じような見た目だなとジェラールは思う。
    「とりあえず1口もらってもいいですか?」
    誰かとお忍びに出掛けた先で口に入れるものは毒味して貰うのが日常だ。
    ジェラールの立場を考えれば護衛の職務として当然の事でしかない。
    でも今日の護衛が彼なら、少し自分のわがままを聞いて貰えるのではないかとヘクターの手から買ってもらった物を受け取り氷に刺さっていた匙で1口すくい取る。
    そしてそれをそのままヘクターの口元に。
    「はい。口開けて。」
    これが単なる気晴らしであってデートでは無い事は誰よりもジェラール自身が自覚している。
    擬似的でもいいからいつもとは違う2人を楽しませてもらえたらと思ったが今更あまりにも唐突過ぎたかと恥ずかしい思いが沸いてきた。
    いつまでも口を開いてくれないし流石にヘクターも引いているのだろう。
    「ごめん突然...!やっぱり自分で食べて...」
    そう言って匙を持つ手を戻そうとすると手首を掴まれジェラールの目の前には甘い砂糖水と同じ色の青色が広がる。
    「ん.....甘いっすけど今日みたいな日にはやっぱり美味いですね。」
    ジェラールにとっては一口も食べずとも甘さを味わい、冷たさとは逆の熱さを味合わされることになった。


    「美味しかったね!また暑い日に食べられたらいいな...。」
    執務室に篭っていた暑さもどこかへ飛んで行ったようだ。
    城へ戻る道すがら、店の窓に映る自分の顔を写すと口元...舌の辺りが青く染まっているような気がする。
    「え、あれ?この色って...?」
    「あぁ、そういやあの甘い液体の色が一定時間残るんですよね」
    「えぇ?どうしよう...城内で口が開けられないじゃないか。」
    そんな事知らなかった、特にこの後の予定がある訳でもない、挨拶をする時になるべく口を開かないようにしようとジェラールは心に決める。
    その決意の様子を見ているヘクターは何故だか楽しそうなんでなんで早くに教えてくれなかったと恨みがましい目でジェラールは見てしまう。そんな所も何が楽しいのかヘクターは笑いを零し出す。
    「はは...ああ、すいません。遅くとも明日には落ちますよ。
    .....それまでだけでもその色持っててくれたら嬉しいですし。」
    途中からヘクターは顔を背けてしまって独り言を言っているようにしか聞こえなかった。
    とりあえず明日の仕事に支障が無いなら大丈夫だろう。
    今度あれを食べるなら色が目立ちにくい赤色の物にしようかと思うジェラールだった。
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