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    planet_0022

    @planet_0022

    書きなぐった短編たちの供養所

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    POIPOI 12

    planet_0022

    DONE現パロ
    旅館経営者御曹司ウツシと住み込みで旅館で働く苦労人元JK愛弟子ちゃんのド健全ラブストーリー

    ろまこさん(@romako_ex)が書いていらっしゃった元ネタ(https://poipiku.com/6214969/8696907.html)を許可頂き小説化したものです。
    めーっちゃくちゃ楽しかった!書かせて下さってありがとうございました!
    夜明けのワルツ ピピ、というアラーム音が鳴るのとほぼ同時にぱちりと瞼が開いて覚醒する。時刻は朝の四時。日の出まであと三十分といったところだろう。窓の外はまだ薄暗い。けれどやるべき仕事は山ほどある。掃除、朝食準備、来訪予定のお客様の人数把握……数えればキリがないほどに目まぐるしい。この生活にもずいぶんと慣れてきたけれど、それでも朝方の布団の中ほど離れがたい場所はないものだ。
     うー、と唸るような声を上げて後ろ髪をひかれる思いであっても、仕事は待ってくれやしない。がばり、と勢いよく起き上がってそのままの流れで布団を畳み、身支度を済ませて……と、一連の動作を流れでやってしまわないことには、いつまでたっても次へ進まないことをヤコは嫌というほど知っていた。ふわぁ、と大きなあくびを一つして、洗面台の鏡に映るまだ寝ぼけた瞳をしている自分へ喝を入れるべく、ぺち、と両手で軽く頬を挟むようにして叩いた。蛇口を捻って出てくる冷たい水でばしゃばしゃと顔を洗って、気合の入れ直し。
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    planet_0022

    DONEウツハン♀
    人外ウ×ハンターになる前のデシ
    ハンターのあまりに屈強な体の理由は神からの恩寵なんじゃないの、っていうそういう奴。
    いずれ混ざり合って同じ存在になろうね、という話
    透明の甘味 今日はスタミナ訓練だ、と告げられた時点から嫌な予感がしていた。山を三つ越え、そのまま雲を突く勢いで高くそびえる崖を登り、あげくの果てには山の麓から川を泳いでカムラまで帰れと言われたのだ。
     流石に冗談だろう、と恨みがましく男を見つめれば微笑みを返された。さぁ、早くやりなよと言わんばかりのそれに少女が抗えるはずもない。言い出したら聞かない男なのだ。諦めと自棄をぐちゃぐちゃにかき混ぜながら、心の中で男に対して罵声を発しつつ山登りを始めると、そういうのは傷つくからやめて、と口を尖らせて男に抗議された。
     山を三つ越えるまでは問題なかった。だが、崖登りが崖の中腹に差し掛かった辺りから怪しかった。岩を掴む手に力が入らない。気力を振り絞って手を伸ばし、岩のくぼみに手を掛ける。けれど、指先の感覚がもうすでにわからなくなっていた。掴力が弱っているせいで岩場に捕まり切れず、上を目指して腕を伸ばしても何度も何度もだらりと下がってしまう。その度にかろうじて岩場に縋りついている利き腕とは逆の腕と、ほとんど足場もない状態で踏ん張っている足に負担が重くのしかかる。ぱらり、ぱらり、と足を掛けている脆い足場から小石の転がる音がする。疲労が蓄積された体は常よりもずっとずっと重たく感じられた。
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