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    ラブコメモドキの続き 軽率に修羅場を考えたがる

    「お前、ちょっとこっちこい」

    グイッと引っ張られて物陰の人の視線が入らないところに立たされる。

    「ユーリス?何かあったのか?」
    「どうしたもこうしたもねーよ、はぁ〜ここまで拗れるとは流石の俺様も予想つかなかったぜ」

    さっきからユーリスの言っていることが理解できない。拗れる?
    頭を傾げて理解してないような雰囲気の俺に対し、またユーリスは大きくため息をつく。

    「いきなり何の脈絡もなくお前とクロードの不仲説が流れると軍全体の空気も悪くなる」
    「不仲って…そこまで悪くないぞ。…ちょっと距離を置いてるだけだ」
    「だから、それが良くないんだって。お前そもそもそういう駆け引き自体うまくできないだろ」

    自分はクロードに必要以上に近づきすぎているのかもしれない。誰から言われたわけではないが、そう感じて自分が行ったことといえば、クロードと普段一緒にいる時間…例えば遠乗りや食事などそれらを別の予定があるといって断るようにした。

    「お前なぁ…、自分がされてないから分かってないんだろうが、仮に軍の中の誰か…お前の面倒見てくれてる奴誰か思い浮かべてみろ。あー、俺とクロード以外で頼む」

    最後にユーリスとクロード以外でと付け加えられたところに少し引っかかりながらも、言われた通りに自分の面倒見てくれる人物について思い浮かべてみる。
    連邦国の所属している人物で…思い浮かべたところでヒルダ…マリアンヌ…イグナーツにラファエル…口うるさいがローレンツも、それに他の皆も多くが自分のことを気にかけてくれている。気の優しい人物が集まった軍だと思う。

    「思い浮かべたか?じゃあそいつらが急にお前に対して、避けはじめ、会話もしたくなさそうになったらどう思う?お前にだけだぞ」
    ユーリスの俺に差す指がトントンと俺の身体に突き刺さる。自分だけだと念押しに付け加えられて。
    「それは…俺に何か問題があって…」
    答えは明白。それは避ける理由が自分自身の問題ではなく、自分と相手の関係、相手方に何かあるのだろう。
    ユーリスとクロード以外という意味がここでよく分かった。この二人は軍の中で特に裏に何か秘めることの多い人物だ。急に自分を避け始めたからといって、そこには感情と伴わない何かがあるのだろうと俺ならそう汲み取って特段気にすることはないだろう。
    しかし、それ以外で俺が思い浮かべた仲間たち…その二人に比べて自身の感情に正直な者たちが多い。

    (中略)


    「―――お二人さん、ちょっといいかい」

    二人に話し込んでたところで、その二人以外から発せられる別の声。
    修羅場ちまった…と俺にしか聞こえない小声で頭を抱えるユーリス。

    「物陰に隠れて、コソコソと…。何か楽しい話かい?よかったら俺にも聞かせてくれよ」

    和やかな口調で話しかけてくるが、目は笑ってない。腹の探り合いをするときの顔、腹のうちに何か隠すことが得意ではない俺には見せない顔だ、ともすればそれを見せてる相手というのはユーリスか。

    「俺から話すことは何もねーよ、こいつから聞いてくれ。シェズ、もうこれ以上状況悪くしない為に正直に話せよ。じゃあな」

    俺の肩にポンと軽く叩いてから立ち去るユーリス。
    クロードもユーリスを追うことはしない。元から用があるのは俺だったのだろう。
    ユーリスの言う通り、ここで逃げると更に状況が悪くなるのは流石に分かる。
    流れる空気が悪い。どうして、もうちょっと自然な流れにしたかったはずなのに。
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    偏屈探偵と午後のひととき[第三話]「とても大きな鞄だな、ミス・フラムスティー。なるほど、ドクターズバッグか‥その鞄の中身は一体何だい?」バジルはパイプを片手に、席を立ち、目を細め、背を曲げて、鞄をまじまじと見た後、背筋を伸ばし、鞄を持ったオリビアに尋ねる。ドーソンも席から立ち上がり、自分なりに鞄を観察する。「ふふんまぁ、二人共、あまりの嬉しさで、思わず飛び上がらないで頂戴ね」オリビアはニンマリ顔になり、鞄をポンポンと二度叩き、鞄を開けようとし、「あそうだ二人共、わたしが良いよと言うまで、目を閉じてて頂戴ね絶対よ」オリビアはバジルとドーソンに目を閉じる様に言った。「あぁ、分かったそれじゃぁ今から、目を閉じるね。」ドーソンはすんなりとオリビアの要望に答えた。「何故目を閉じなければならない?別に閉じなくても良いだろう?ははん、さてはミス・フラワージャークは、僕等に見られたくない物品を持ち込んだと言うわけ‥」バジルのなかなかの偏屈ぶりに、ドーソンはまたも呆れた。オリビアは、自分があまりにも信用されていない事に深く傷付いた。オリビアは目に涙を浮かべ、弱々しい声でポツリと呟いた。「全然そういうのじゃないの‥ぐすっ、わたしね、目を閉じて貰いたかったのはね、サプライズみたいにしたかったの‥二人の吃驚する顔が見たかったから‥」オリビアの呟きは皆に聞こえていた。バジルの心は痛んだ。少しバツが悪そうにオリビアの方を向き、「ほら、目を閉じたぞ。さぁ、鞄の中身を教えるんだ。」と少し優しく言った。半泣き状態だったオリビアは、パッと顔を輝かせ、「うん分かったそれじゃぁ見せるわね」オリビアはルンルン気分で鞄の中身を取り出し、テーブルに置いた。目を閉じた二匹は少しの間、何も言わずに立っていた。
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