結くんの線香花火は終わらない「これやろー!外行こう、そとーっ!」
何の前触れもなくばーんとドアが開いて、想像出来る人物の内の「来てくれてより嬉しい方」が騒がしく部屋に入ってきた。狭い玄関にぽーんと放られて、あっちとこっちに向いたサンダルはそっちのけ。幼児が使うようなかわいらしいデザインのバケツをこちらに向かって突き出して、ブンブンと縦に手を振る。
「なんですか、突然」
「今に始まったことじゃないから大丈夫!」
「それ全然大丈夫じゃないやつです」
どうやら、百均に買い物に行ったら花火が置いてあったらしい。当たり前だが百均だけあって少量のそれは、逆に少しだけ花火気分を味わうには丁度よい。
ついでに目についた縁が波打って花びらのように見える小さなバケツで、これは!と思い立ったらしい。
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