同期こぼれ落ちた命はいくらでもあった。故郷の人間も、家族も、たった一人自分を守った男も。その男が命を賭して守った命が至極簡単に失われていく。
怒りで沸騰する血の音が聞こえ、息をするたびに鍛えていたはずの肺が焼けるように痛かった。さびとのように守れない自分に。生殺与奪を握らせ弱者として死んでい同期がひとり、またひとりと目の前で失われていいくごとに、さびとが薄れていくことに。
柱になりたかったわけではない。荒事は今でも好まない。出来るだけ剣を握らなくて済むなら、それに越したことはない。所詮、自分は仮の水柱だ。そもそも他の柱とは何もかもが違う。ただただ、さびとの死をこれ以上意味のない形骸にしたくなった。強くならねば。さびとのように。
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