レンタル彼氏 それはしとしとと雨が降る日、昇降口で空を見上げて傘を忘れた自分の間抜けさに舌打ちをしている俺の前に天使が舞い降りた。天使の名前は勝己、勝己との出会いは色々な意味で鮮烈だった。何しろ初めて交わした会話は、
『轟先輩、俺のレンタル彼氏になってくれねェ?』
ここからから全ては始まったのだから。
レンタル彼氏って何だと聞くと“お金を払って彼氏を買うことデース“って悪戯っ子の顔をして微笑み、小首を傾げて“轟先輩はおいくらですか?“と続ける。ああこの子はふざけているんだな、同じ学校の制服に一年生であることを示す名札の色、ここは上級生として悪ふざけを注意すべきだ。そう思ったが、その飛び切り綺麗な顔をした子ともう少し話をしてみたいという欲の方が上回りついつい話に乗ってしまう。
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