賢者の贈り物 どさ、とオレの机の上に大量の本が置かれた。朝から溜め息ばっかり吐いていたレオナさんがほんの小一時間前に事務所から出て行って、たった今帰ってきたと思った瞬間のことだった。
「何スかこれ」
本を一つ手に取る。タイトルは『季節のデザイン素材集』だ。その横のは『グリーティングカードデザイン集』他にも似たようなタイトルが並んでいる。
「もうじき、年末だろ」
「ああ、はい、そッスね。あ、そういやうちの事務所じゃホリデーって何日から──」
というか、帰っていいのかな?
自分で聞いておいて首を傾げそうになる。ホリデーには実家に帰る約束だったけど、多分レオナさんは実家には帰れない。
「いつからでもいい、帰りたい時に帰れ。旅費も経費で出してやる。ただしそれまでにこの仕事は終わらせておけよ」
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