首輪の行く末 ぴこん。ぴこん。ぴこん。
軽快な音が立て続けに鳴っている。疲労で泥のように眠っていた星の鼓膜を叩いて、意識がゆっくりと浮上した。起き上がる気力が湧かずに手探りでスマホを取る。眠気でぼやけた視界に飛び込んできたのは同じ送信者からの大量のメッセージだった。最初は心配するもので、段々と焦りが募ったようなものに変化して。そして最後は。
”今すぐ居場所の座標を転送しろ”
「………………やっば」
メッセージの送り主は列車の護衛役、丹恒。他の列車メンバーからは特に連絡は来ていない。おそらく前者は列車に戻らない星を心配して、後者は依頼関連で列車を開けることも多いので数日失踪でもしない限りは大丈夫だという信頼だと思うが。
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