クーラーのある熱帯夜「冬にこたつでアイス食べるやつあるじゃないですか」
「あるなぁ」
「夏にクーラーつけてわざわざくっついて寝るのも、似たような贅沢だと思うんですよ」
「まあ、そう言われるとそんな気もするな」
暦の上では秋、とは信じがたい猛暑日の夜。文明の利器、クーラーがなければ命すら危うかっただろう。命に電気代は変えられぬと空調を点け、肌触りのいいガーゼの布団に潜り、そして隣には伝蔵さん。私たちは二人して体温が高い方の人間なので、冬に一緒に寝るのは温かくていいのだが、空調を点けるか否か悩むような気温の日には暑いのだ。しかし、きっぱりと暑くなってしまえば逆にやりようがある。寝苦しい夜で寝不足になるより、部屋を冷やした方が賢いというものだ。
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