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    mougen_mousou

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    👹🦊。夜にメンタルだめになる🦊の話
    ##Foxakuma

    ぜんぶだめなんだ 夜になると嫌なことを思い出す。昔あった嫌なこととか、人とうまく関われないだとか、メンタルが不安定だとか、今考えたってどうしようもないことで頭が埋められる。そういう時は決まって酒を飲む。飲んだら気分が紛れるから、忘れられるから。今日もいつもと同じ、逃避のために酒を呷っていた。
    「ミスタ、飲みすぎだ」
    もう一杯、とつごうとしたらヴォックスに酒を奪われる。代わりにと、水を手渡された。
    「まだのめる…」
    「駄目だ、明日に響くだろう」
    お前の二日酔いはタチが悪いからね、と酒を棚に仕舞われる。棚にしまったぐらいで飲めるの止められると思ってんのか。取り戻すため、椅子から立ち上がったがふらりと体が揺れる。思ったよりも酔っているらしい。倒れそうになったところを、ヴォックスの腕で支えられた。
    「ほら、もう足元も覚束無いじゃないか 」
    「…へーきだし」
    「お前は…何をそんなに恐れているんだい」
    話しか聞けないが、話は聞けるよと頭を撫でられる。その優しい手つきに思わず涙が零れた。止めなければと思っても、酒で緩くなった涙腺は止まってくれない。
    「お、れ…なんにも、できない…」
    「そんなことないだろう」
    「できないよ。 ヴォックスにだってめいわくかけた」
    「迷惑?」
    「…めし、くわせて…それで、おなかこわさせたし、一緒にくらしてからも家事とかまかせっきりだし、それに…おれ、なにもかえせてない、し…」
    「お前の家事レベルが最底辺なことは元から知っているから、なんの問題もない。 それに、ちゃんと返してもらっているよ。 私はお前がいてくれるだけで幸せだからね」
    「しゅみわる…こんなんがいいなんてさ」
    「そうかもしれないな。 他に都合のいい女だっているだろう。 それでもね、私はお前がいいんだよ。 だからそんな飲み方はよしておくれ、心配になる」
    ふわっと体が軽くなったと思えば、ヴォックスに抱き抱えられていた。
    「ちょ、っと…」
    「ベッドまで運ぶぞ」
    「待って、はきそ…ゆらさないで…」
    「だから水を飲めと言ったんだ」
    「だでぃ〜…おれじぶんであるける」
    「歩けるやつは立ち上がっただけでふらつかないんだ、知っていたか?」
    揺れに耐えていたら、ゆっくりとベッドに寝かされる。そっと布団越しに、胸の辺りをぽんぽんと叩かれる。
    「今日は寝てしまいなさい、傍にいるから」
    「…手、つないで」
    「勿論」
    そっと布団から手を出すと、自分よりも少し大きい手が優しく握ってくれる。柔く、確かに指を絡められ、ぽやぽやと胸が暖かくなるのを感じる。布団に入ったせいか、瞼が重く目が開いていられない。
    「…いつもごめん」
    「何がかわからないな」
    「ぜんぶ…」
    「いいさ、お前の話ならいつだって受け止めるよ。 だから安心しておやすみ」
    落ちていく意識の中、優しい声に包まれて俺は意識を手放した。
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