静かな夜の時間の話はた、とカーテンの隙間から差す月明かりで目を覚ます。
時計を見ずとも今が深夜なのは明白で、それにしても明るすぎる月明かりに目を細めた。
幸いにも隣で眠る愛しい人を起こしてはいないらしい。
すぅすぅと静かな寝息を立てて僅かに身じろぎをするテオ。
サリは彼の眠りを妨げないようにと静かに自身の上体を起こす。
夢見が悪かったわけでもなく、月光に起きろと言われたかのように自然に目が覚めてしまった。
もう一度寝直すには眠気は一気に霧散してしまい、困ったなとさして困っていない様子で横に眠る男を見つめていれば、起き上がった事によってできた布団の隙間から入る外気に身を縮こませ、すり、とサリの太ももあたりに額を擦り付ける。
その様子があまりにも普段のテオとはかけ離れていてただだ愛おしくて、サリは彼の頭を優しく撫でる。
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