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    sari128sama

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    sari128sama

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    ある夜の話。続くかもしれないし続かないかもしれない。

    静かな夜の時間の話はた、とカーテンの隙間から差す月明かりで目を覚ます。
    時計を見ずとも今が深夜なのは明白で、それにしても明るすぎる月明かりに目を細めた。
    幸いにも隣で眠る愛しい人を起こしてはいないらしい。
    すぅすぅと静かな寝息を立てて僅かに身じろぎをするテオ。
    サリは彼の眠りを妨げないようにと静かに自身の上体を起こす。
    夢見が悪かったわけでもなく、月光に起きろと言われたかのように自然に目が覚めてしまった。
    もう一度寝直すには眠気は一気に霧散してしまい、困ったなとさして困っていない様子で横に眠る男を見つめていれば、起き上がった事によってできた布団の隙間から入る外気に身を縮こませ、すり、とサリの太ももあたりに額を擦り付ける。

    その様子があまりにも普段のテオとはかけ離れていてただだ愛おしくて、サリは彼の頭を優しく撫でる。
    カーテンから漏れる月明かりに照らされて光るミルクティーブロンド。
    柔らかな髪質は時折光に透けて美しく指の隙間を流れていく。
    幼子を撫でるように優しく撫でていればピク、と彼の耳も揺れる。

    静かな寝室に彼の寝息と遠くに聞こえる小波、そして時計の針。
    なんて贅沢で幸せな時間なんだろう。
    昔の事を思い出す隙もなく、ただ穏やかな時間が過ぎていく。

    暫くそうして静かな時間を堪能して、いつまでもこうしてるわけにもいかないか、とサリはゆっくりとベッドを降りる。
    残念な事に眠気は来ないし、綺麗な恋人の寝顔なんて彼が目覚める時まで眺めていることができてしまうし、せめて何かしようと思ったのだ。
    それにあんまりにも贅沢な時間すぎてソワソワしてしまう。

    ベッドを降りて、テオに布団を掛け直す。
    こめかみにキスを落としてみても起きる気配はないようで安堵と、ほんの少しだけ寂しい気がした。 
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