卒業後、マドル家を除籍されるんじゃなくて政略結婚させられそうになるワース♀ちゃんの話



ワースの卒業後の進路が決まって、最後のテストも終わり、授業も大体落ち着いてきた時期

ある日実家に呼び出されるワース。
卒業後は除籍されるという話はすでに父親からされている。卒業後の進路は除籍されたあとなので親に「進学する」としか話していないが…。除籍される無価値な自分に何の用があるのだろうと困惑するワース。

父親の部屋に呼ばれて言われた話は「除籍はせずにとある裕福な貴族のところに嫁げ」と言うこと
卒業後の進路が決まっているのに、何を言っているんだと思っていると「もう決まったことだ。お前の卒業後の進学先には入学しないと連絡してある」と言われて頭が真っ白になる。
怒鳴りつけるように大きな声で「返事は」と声が飛んでくる。「いやだ」と言いたかったけれど、父親の口調に委縮してしまって震える身体。結局小さな声で「はい」と言うことしかできなかった。礼をして父親の部屋を出る。足元から崩れ落ちそうだった。

どうやって寮に帰ってきたかも覚えていない。ワースはこれからのことを考える。
進学取消しを取り消してもらおうと思ったけど、大学側は未成年の自分よりマドル家当主の意見を優先するだろう。じゃあ就職？どこに？進学の準備しかしてこなかったから今からでは時間がないし、除籍された身では難しいだろう。
（大学では孤児とかそういう感じの奨学金制度を受けることが決まっていた）
進学も就職も無理。じゃあどうする…？
政略結婚なんて貴族の間じゃ珍しくない話だけど、でも急すぎるし、会ったこともない相手と。しかも相手は2回り以上年上らしい。――嫌だ。これからの人生の途方もない時間を子孫繫栄のための胎として生きていくの？
いろいろ考えたけど、姓もない未成年の自分が生きていくためには【結婚】しか道が残されていない。もう詰んでる。と誰にも相談できなくて諦めるワース

それ以来全てがどうでもよくなって無気力になってしまう。
友達やマギアルプスのみんなと話していても卒業後は会うことがないんだろうなと思って会話に詰まったり苦しくなったりしてしまう。授業もほぼないから習慣で図書室には行くけど勉強にも身が入らず（やっても嫁がされるなら無駄だと思ってしまう）、読書しても内容が頭に入ってこない。そのうち自室でぼーっとしてるとか寝てるとか増えてくる。

さすがに不安に思ったアビスがワースに「大丈夫ですか？」って聞くけど、「大丈夫」とか返ってこない。明らかに大丈夫ではないのに。
どうしようもなくてアベル様とシュエンに相談することに。
アベル様よりはシュエンのほうが話しやすいだろうと。シュエンがその役を受けることになった。ワースを訪ねてきたシュエン。二人の方がワースも話しやすいだろうとアビスは不在。
「最近様子が変だけどどうしたの？」ってシュエンが聞く。最初は口を開かなかったワースだけどついに「マ、ドル家の除籍は取り消して、政略結婚しろって言われて…怖くて「はい」って言っちゃった…。でも知らない20近くも年上の相手と結婚するのやだ。みんなにも会えなくなるのやだよぉ」って子どもみたいに号泣する。シュエンもびっくりするけど、泣き続けるワースを宥めるのが先で、話しを聞いたり、抱き締めたりする。そのうち落ち着いたワースは泣きつかれて寝落ち。

聞いた話をマギアルプスに共有して政略結婚を取り止めさせようとする。
ただほかの家の結婚問題（しかも貴族同士）に部外者が口出せるものでもない。じゃあ身内になんとかしてもらうしか…、ということでオーターに連絡を取る。当然そんなことは知らないオーターはこれに激怒してすぐに兄としてその政略結婚を止めさせる（当主ではない兄の立場とはいえ、神覚者の反対というのが大きすぎた）

政略結婚が取り消されたあともワースは一人でぼーっとしている時間が多くなっていた。
他の人が聞いても「いろいろあったから疲れちゃって…」と言う。
結局、大学は進学できなくなってしまった（一度入学辞退の連絡があったこと＆ワースが諦めていた期間に必要書類などの提出期間が過ぎていたから）
白紙になってしまった卒業後のこと。学校の先生からは「イーストンの職員として一年間働きながら来年もう一度受験するか？」とかアベル様からは「卒業後に立ち上げる会社で一緒に働こう」とか誘われるけど「考えさせて」としか言わない。
相変わらずぼーっとしている時間が多いことに周囲もまた心配し出す。
そんなときにオーターと一緒にワースの様子を見に来たカルド。人材管理局として優秀なワースに目を付けていたけど、卒業後は進学すると聞いて諦めていた。
ワースの虚ろな目や消えてしまいそうな雰囲気を見たカルドが「これ疲れているだけ？精神的な問題では…？」と気付いてメリアドールさんのところに連れて行く。
結果、軽い鬱状態という診断が下った。

メリアドールさんの勧めで卒業後は、ゆったりとした田舎で療養することになったワース。
マギアルプスのみんなやマッシュたちが訪ねてきて、神覚者の面々もたまに来る。
地元の人と野菜作ったり（泥魔法が役に立つ）子供たちと仲良くなって勉強教えたりして、徐々に治っていくワース。

たぶん魔法局があるところには戻らず、このままこの田舎でのんびり暮らしていく。
ちょくちょく通ってワースの様子を見に来る誰かとくっつくといいな。