酔いの理由。「シュウ〜もうそのへんにしときなよ。」
「んぅ、やだぁ…もうちょっとだけ…。」
深夜零時を回った頃。
ルカは、いつになく頬を赤く染めたシュウをソファで支えていた。もうシュウは全然呂律が回っておらず、体もフラフラで完全に身を委ねてきている。だが唯一右手だけがまだ元気に動き回っており、酒に伸びてはルカが止め、また伸びては止めを繰り返していた。
「もうこれ以上はだめだよ、はいおしまい!」
「ちょっ、るかぁ〜…!」
ルカはシュウが飲んでいた缶を掴むと、伸びてくる手を制しながら一気にそれを飲み干した。鼻の奥にハイボール独特の香りがふわっと広がり思わず顔をしかめる。缶の半分も入っていなかったが、少ない量でも酒の効果はそれなりにあって、喉元から胸の辺りが熱くなるのを感じた。カンっ、と乾いた音を鳴らし机に置くと、眉を下げてじっと見つめるシュウと向き合う。
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