トナカイと七面鳥「ちゅんたぁ!ちゅんたぁ!」
夜中、隣で寝ていた人が突然喚いた。
「どうしました?」
うなされて、泣いている。俺を呼んでいる?探している?
「ちゅん、ちゅんた…」
ぐす。嗚咽が漏れる。
「高人さん。俺はここです。大丈夫。もう大丈夫だから。」
薄目を開けてこちらを認識したのを確認し、抱き起こした。背中をさすってあげると、両手で背中を掴んで、胸に顔を埋めた。
「よかった。ちゅんた。よかった。」
「怖い夢を見た」
漸く泣き止んだ人に、人肌に温めたホットミルクを手渡すと、両手でカップを包み持ちミルクの波をじっと眺めてから、ゆっくりと口に運んだ。一口飲んで、ほぅと息をつく。
「七面鳥だったんだ」
はい?
「俺とお前は、七面鳥で、お前は先に売られていった」
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