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    tenjiku_mol

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    tenjiku_mol

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    ワンライ
    お題下心でtwitter投稿したもの

    下心 下心はあります。
     あいつはそう言った。

     いつものように美味い飯を食って、ほろ酔いで、気分が良くて、
     最近我が家にー訂正ーあいつの部屋にやって来たどデカいにゃんこクッションをふにふにしながら、背中にもたれかかっていた。
     あいつは、その生意気な大きな背中で俺を受け止めながら、何か調べ物をしていて、話しかけても上の空で、ちょっと面白くなくて、

     あいつとスマホの間に、にゃんこを突撃させた。

    「どうかしましたか?」
     やっと顔をあげた。
    「そんなに集中して、何調べてるんだ?」
     肩に顎を乗せて、画面を覗き込んだ。
     基本お互いのスマホはオープンになっている。見られて困るものはないし。
    「ああ、これはですね…」
     来月1週間の地方ロケに出る。その下調べ。
    「なんだよ下調べって」
    「ほらこれとか」
     地元でしか買えない地酒
    「これとか」
     有名店のスイーツ
    「これも高人さん好きそうですよね。」
     匠の逸品・・・

    「お前そんな事ばっかやってないで仕事に集中しろよ。」
     少し呆れる。海外旅行でもあるまいに。俺中毒かよ。
    「下心でもあるのか?」言ってやれば、
    「あります。」断言された。
    「お土産買ってきますから、先払ってもらってもいいですか?」
    「意味わかんねぇ」
     そうやって、今日もまたあいつの手の中。美味い飯と酒と暖かいベッドと。ぬくぬくと絆されてゆく。


     あいつがロケに出て、今日で三日。作り置きしてもらった食事が終わったこともあり、今日は久しぶりに中目黒へ帰って来た。
     風呂を入れるのは面倒でシャワーですます。濡れた髪のまま、冷蔵庫に入れっぱなしだったビールを取り出す。ツマミは高級鯖缶とクラッカーにチーズ。録画してあった優先度の低い番組をチェック。
     味気なくて、つまらなくて、寒くて。あいつは今頃何をしているだろうか。なんて考える。

     こんな時、日頃どんなに尽くされていたかを否が応でも実感させられる。なんとなくスマホに手を伸ばすと、電話が鳴った。

     電話口のその嬉しそうな声は、それだけで元気をくれる。今日あったこと、面白かったことや笑ったことや、たまには少し愚痴なんかも報告し合って、最後に俺の生活の心配をするあいつに、虚勢を張る。
    「俺はのんびりやってるぞ。しっかり働け。」
     長期ロケ時のお決まりのパターンだ。

     最高の仕事して帰って来い。余裕があったら、下心のこもった土産を持って。


     今日、チュン太が帰ってくる。
     疲れてるだろうに、俺のためにいっぱい土産持ってくる。飯は準備しておいてやろう。ウーパーで。風呂も沸かしておいてやる。
     美味い地酒は、あいつの作る美味い飯と一緒がいい。だから、今日はビールでほろ酔いどまりに。
     久しぶりに会うんだ。俺にも下心はある。

     End.
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    tenjiku_mol

    ArtSummary2022きのかさんのイラストからの妄想SSです。
    寝顔盗み見高人さん いつもより少し早く目が覚めた。頭に添えられた手は優しくて甘ったるくて。でもその太い腕はぎゅっと俺を抱き寄せて動けないほど。決して逃がさないと。そっと目だけを動かして盗み見たその顔は、なんて満たされているんだろう。逃げないし逃がさない。そっと指先を握りこんだ。
     恋人に抱きしめられて眠っていた、冬の早朝。

     眠る天使に出逢える日は少ない。天使はほら、警戒心が強いから。安らかに閉じられた瞳を守る長い睫毛。結ばれた唇は口角をあげて、静かに寝息を漏らしている。そんな無防備な様がとても可愛くて愛しい。安心して眠ってほしい。俺の前では気を抜いていいから。どんなお前も好きだから。

     この腕の中はいつも温かい。いや、暑い。のぼせそうだ。身動ぎもできず、でもそれすら心地よくて、数ミリの隙間を詰めて喉元に鼻を埋めて吸い込んだ。なんでこんなに体温が違うんだろうな?同じ男なのに。熱で少し蒸れた匂いも嫌いじゃない。こんな温もりに包まれて眠ることが当たり前になるなんて、昔の俺に教えてやったら驚くだろうな。怒るかもしれない。分からないだろうな。これは俺だけの特権だから。掴んだ手に力がこもる。その時、
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