証を貰った日バスタオル、石鹸、鏡
お風呂から上がって髪をタオルドライしていたら視界になにか映った。
「ん? あー…………」
鏡に映った自分の姿にちょっとの違和感。どうしてか、覗き込んでみて気づいた。左肩より首側に赤い跡を見つけて照れてしまう。確かめるように跡に触れた。
これをお願いしたのは自分だし、わかりやすい印として証として貰えたんだって、実感する。どこまでも一緒の証。
「っしゅん……乾かさなきゃ」
ついつい見入っていたら、くしゃみをしていた。
バスタオルを巻いただけのこの姿では風邪をひいてしまう。ただでさえ心配をかけてるのだし、これ以上はいけない。慌てて体を拭って服に袖を通す。
ドライヤー片手に髪を乾かしていたら不意に石鹸の香りがした。一緒の香りについ頬が緩んでしまう。こうして同じ香りを纏うというのもいい。香りからそばにいてくれる気がするし。
「今度、ボクのお気に入りも持ってこようかな……あぁ、でも、今のままのほうがいいか」
いつものを使うのもいいけど、同じ香りも纏いたいわけで。
なによりも分かる人には分かるわけだしね。お互いを象徴するピアスもわかりやすいとは思うけど、もう少し主張したい。欲張りなのかな……。