③「鶴丸、起きて。朝だよ」
ピチチ……と鳥のさえずりが聞こえる。朽ちかけた防空壕に朝の光が射し込む。鶴丸の髪がキラキラと輝いているのが眩しくて目を細めた。
「んん……今起きる。君は早起きだな……」
「鶴丸が遅いだけ。あと30分もすれば定期連絡の時間だから、さっさと朝食にしよう」
2度寝しようとする鶴丸を蹴っ飛ばして鞄からレーションを取り出した。
「いい加減このボソボソとしたのも飽きてきたな。光忠の料理が恋しくてならん」
「本当にね。俺は帰ったら燭台切のカレーが食べたい」
「いいねぇ。俺は酒が飲みたい」
それ料理じゃないじゃん、 なんて笑っていると鶴丸が「手はもう大丈夫なのか」と聞いてきた。
「うん平気。あぁー……でも長義には内緒にして欲しいなぁ」
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