最近本当についていない。
バトルでは変なミスばかりしていますし(なんとか勝利できましたが…)、作成して印刷をした後に書類の不備に気づくし、先程は何も無いところで派手に転んでしまいました。
些細な事から割りと大きな事まで内容は様々ですが、何故不運とは一斉に訪れるのでしょうか…。
いつも馬鹿にしてくるクダリにさえ、「もうすぐノボリのところにも幸せが来る」と同情される始末。
いっそ笑われた方がマシだと感じるほどです。
メンタルも少しずつ崩れ、もう何もかも投げ出してしまいたいと思い始めてきました。
ここまで来ると今何をしても上手く行かないことは目に見えております。
そっと机に「少し休憩をしてきます」とメモを残し、仮眠室に向かえば、どっと押し寄せてくる疲れと眠気に抗うことができず、アラームもつけずに眠ってしまった。
フッと目を覚ませば目の前には弟の顔。
驚いて飛び起きようとしたワタシの体を、クダリは力任せに押えつけ、そのまま上にまたがってきやがりました。
「な、重「そのまま飛び起きたら頭ぶつける」………」
そう言われてしまえば、何も言い返すことができない。
乱暴ではあるものの、ワタシが怪我をしないようにクダリが気遣ってくれたのだから。
しかし、ワタシの上から降りないまま、両手で頬を容赦なく掴まれて、ふつふつと湧き上がる怒りのまま藻掻こうとするとグイッと顔を近づけてきた。
そのまま、視界いっぱいに広がるワタシと同じグレーの瞳にとらわれる。
「ノボリ、僕がいったこと覚えてる?」
「は?」
「もうすぐ幸せがくる」
唐突すぎる話についていけない。
しかも、あれはお前があまりにもワタシを不憫に思って言った気休めではなかったのだろうか?
そもそも、クダリのいう『幸せ』とは一体何なのだろう。
「クダリ、お前は「あのね」」
ワタシの言葉を遮ったクダリの表情は、何か愛しいものでも見ているかのように優しくて、一緒に生きてきたワタシですら初めて見るもの。
「あのね、ノボリ」
そして、それを前にした私は一体どのような表情をしているのだろう。
「ボクがノボリを幸せにするから」
ーーーだから、元気だして。
そんな言葉とともに優しく触れた唇の熱に気づいた頃には、きっとワタシの不運など吹き飛んでしまっていたのだろう。
まるで嵐のように訪れた温かく白い幸せを前に、しばらくワタシの思考は混乱したまま、停止しておりました。