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    koutgm

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    koutgm

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    内容は特にない雰囲気フェニとルスが話てるルスマヴェ。ベッターにもあげてます

     奇跡を起こした極秘任務から一週間。
     俺たちを乗せた航空母艦は、ノースアイランド基地へ帰港していた。ミッションの後、船内では医療スタッフによる診察と経過観察、ヒアリングが行われていたが、任務にあたった人間は俺を含め特に問題なしだった。それ以外は報告書やら帰投命令に背いたことに対する始末書を必死で書き上げて、サイクロン中将からもお叱りは受けたが、ありがたいことに形式的なもので済んだ。
     そして今日は久々の休暇。招集されていたトップガンのメンバーと、編隊長を務めたマーヴェリックや彼の補佐をしていたホンドーたちも含めて無礼講の飲み会が開催されていた。
     昼日中のうちからハードデックに集まって、乾杯したのを皮切りに飲めや歌えやの大騒ぎ。そのうち、まだ太陽の温もりが残っているビーチに繰り出して、思い思いに任務後の開放感に浸っていた。
     今は以前マーヴェリックの提案で皆で楽しんだフットボール、のようなものに興じているメンバーが数名(酔っぱらっているから、ルールも何もないめちゃくちゃなお遊びだ)。誰かが持っていた音楽再生端末で流行りの曲を流して踊っているのが数名。後は思い思いに久しぶりの休暇を楽しんでいた。
     そして俺はそんな彼らを眺めつつ、潮風に吹かれながら皆の輪から外れて一人座っていた。少し酔いを醒ましたかった。


    「となり、いい?」
     ふと、顔を覆う影を見上げれば、そこにはビール瓶を片手にフェニックスが立っている。
    「もちろん」
    「はい。冷えたやつ」
    「サンキュー」
     拳二つ分ほど間を空けて座ったフェニックスが、即座に新しいビールを手渡してくるから、俺は遠慮なくそれを受け取る。ちょうど飲んでいたものが、空になったところだったからありがたい。酔いを醒ますのはこの後でいいだろう。
     フェニックスとは、今回顔を合わせるずいぶん前から知り合いだった。それは他のメンツにも言えることだが、フェニックスとは同じ任務に就いた回数も多い。実力は申し分ないし、仲間思いで一緒に組んでもストレスのない相手だ。思ったことはハッキリと口にするが、余計なことはいわないところも好ましく、それなりにプライベートを話す仲でもあった。
     不思議なもので人間酒が入っていい気分になってくると、文句をいいながらでも温いビールを飲み干すものだが、やっぱり冷えたビールは最高だ。フェニックスが持ってきてくれたビールを一口煽ったタイミングと、彼女が口を開いたタイミングが同じでなければ、きっともっと最高に感じただろう。
    「ねぇ、アンタとマーヴェリックっていつからデキてるの?」
    「ブハッ」
     飲み込むタイミングでいわれた言葉に驚いて、思わず口に含んだビールを吐き出した上に咽てしまう。
    「ちょ、汚いでしょ」
     そういって、嫌なそうな顔をしながら俺からさらに距離を置いたフェニックスを、俺は信じられないようなものを見る目で凝視した。
    「なに、いって……」
    「別にいいたくないならいわなくていいけど。ちょっと気になっただけだし」
     険悪じゃないならいいわ、と続けたフェニックスにそういえば極秘任務に召集されてすぐ、マーヴェリックとのことを聞かれたこと思い出す。確かにあの時とは180度どころか、人が変わったくらいの変化が俺とマーヴェリックにはあった。
     正直にいうとフェニックスのいう通り、俺とマーヴェリックはデキていた。あの任務の直後から、と言葉にするとあまりにも安直というかパニックムービーにありがちな、なんでその状況で恋に落ちるんだ?といわんばかりのスピードで。
     ただ、デキたといってもせいぜいキス止まり。いくら空母が馬鹿みたいに広くても、二人きりで会うのは難しくて。しかも俺とマーヴェリックは定期健診やら報告書やらに忙殺されていたから、デートだってサイクロン中将の指令室へ行く途中くらいという色気のないものだった。キスとハグだけで付き合っているというのも大人げないが、関係はこれから深めていくからいいと割り切っている。
    「なんでわかったんだ?」
     そんな、ティーンエイジャーでもびっくりな清いお付き合いが始まったばかりの俺たちの、何を見てフェニックスは気づいたのだろう。女の勘とでもいうやつだろうか。
    「なんでって、アンタ気づいてないの?」
     明らかに馬鹿にしたような眼差しを向けられるが、別にみんなの前でキスしたり関係をぶちまけたわけでもない。わけがわからない、と顔に出ていたのだろう。フェニックスが深々と溜息をついた後、重そうな口を開いた。
    「さっき、中にまだみんながいるとき、アンタがピアノ弾いてたでしょ」
    「あぁ。あれがどうかしたか?」
     いい感じに仕上がってきたマーヴェリックに強請られて、おやじの十八番だった『Great Balls of Fire』を弾き歌いながら、皆で大いに盛り上がった。
    「いくら昔馴染みでも、いい歳した男が男の膝の上に乗る?」
     それも当たり前のように。そう続けられて、酔った頭でその時のことを思い出す。確かに、俺がピアノを弾いているとマーヴェリックが俺の膝の上に乗っかってきた。椅子が小さかったし、周りにみんな集まっていたから特に気にはしなかった。だいたい、その程度の接触なら“だってマーヴェリックだし”という一言で俺の中で片が付いてしまう。
    「しかも、あんた何気にマーヴェリックの腰抱いてたでしょ」
    「いや、ピアノ弾いてだろ?」
    「その後よ。弾き終わって、みんなが好き勝手アンタに曲のリクエストしてるとき。アンタはマーヴェリックの腰を抱いてたし、マーヴェリックはアンタに抱き着くみたいに体寄せてた」
     それも“マーヴェリックだし”で済ませてしまえる程度なのだが、そんなにおかしかっただろうか。
    「無礼講でマーヴェリックが階級の割にフランクな人でも、あの距離感はないわって思ったのよ。だいたい何度もいうけど、いくら昔馴染みだったとしても、あれはいい歳した男同士の距離感じゃないわ」
     意味がわからないと、また顔に書いてあったのだろうか。フェニックスがため息をつきながら、疑問に感じたポイントを解説してくれる。
     酔っぱらい同士の距離感なら、あれくらいは普通では?と思うのだが、フェニックスの目にはハッキリと違いが見えたらしい。
    「それで気づくお前すごいな……」
     これは心からの称賛。
    「それだけじゃない」
    「まだあるのかよ」
    「アンタたち、すっごい甘ったるい目でお互いを見てる」
    「だから観察しすぎだろ」
    「だって一度気になったら目で追っちゃうのよ。ほら、私たち目がいいでしょ」
     俺はともかくマーヴェリックはそんな甘ったるい目で俺を見ていただろうか。どちらかというと、目が合いそうになると逸らされている気がしてならない俺としては、そうだと嬉しいという気持ちが沸き上がる。
    「にやけないでよ」
    「もともとこんな顔」
    「なにそれ。ま、とにかく私が気づいたのはそういうところ」
    「それで、なんでソレを俺にいおうと思ったわけ?」
     本題はそこだ。いいたくないなら、といいながらフェニックスの目は正直に吐けといっているようにしか見えない。彼女もかなり飲んでいたはずなのに、今のフェニックスからはアルコールに飲まれている気配は皆無だ。そういえば、彼女はザルだった。昔並み居る男たちと飲み比べをして、彼らがテーブルとキスしてても、フェニックスだけはケロッとした顔で酒をあおっていた。
    「別に。ただ、私マーヴェリックを尊敬しているのよ。それなりにね」
    「そこはハッキリいってやれよ。喜ぶぜ」
    「そのうちいうわ。で、アンタのこともいい奴だと思ってる。だから、アンタたちがそういう関係なら、上手くいけばいいと思っただけ」
    「あー、まぁ、それはこれからおいおいってところかな」
     ゆっくり、大切に育てていきたい関係だと思っている。ゆっくり、大切に。けれど絶対に逃がさない。手放さないと決めている。マーヴェリックにはいっていないが。そしておそらく、環境が落ち着いて冷静になった彼が、俺から逃げようとすることも俺はわかっている。だからその前に、腕の中に囲って逃げようなんて微塵も思わないようにしてしまいたいのだが、果たしてあのマーヴェリックが俺の思惑にはまってくれるだろうか。なにせ破天荒で自由な人だから。まぁ今は空に逃げられたとしても、追いかけてつかまえる自信はできたから良しとする。
    「アンタ、今すっごく悪い顔してたわよ」
     明らかにドン引きした目で俺を見たフェニックスが、一転笑みを浮かべて大きく手を振った。何事かとその先に視線を移せば、こちらに向かって笑顔で手を振りながら向かってくるマーヴェリックの姿。
     少し小走りに俺たちのところへ来たマーヴェリックが、
    「やあ、二人とも。せっかくなんだ、こんなところにいないで、みんなに混ざらないか?」
     にこやかに笑みを浮かべて問うてきた。
     いつものマーヴェリックの笑顔。けれど、少し違和感を覚える笑顔。
    「マーヴ?」
     つい、人前ではあまり呼ばない呼び方で声をかけた俺の横で、フェニックスが頭を振って立ち上がった。慌てて俺も立ち上がる。
    「マーヴェリック」
    「なんだい?」
    「私とルースターは、同僚以外のなにものでもありません」
     突然の宣言に、マーヴェリックが一瞬固まって、困った表情浮かべながら頬を掻く。
    「フェニックス、なぜ俺にそんなことを?」
    「なので、そんなに気にしなくても大丈夫ですよ。人の男に興味はありませんし。ただ、人前で必要以上にいちゃつくのはいかがなものかと思いますので、どうぞお二人でお引き取りを」
     ここまで付き合えば、二人くらい消えても誰も気にしませんよ、と続けられた言葉にマーヴェリックが素っ頓狂な声を上げた。
    「フェニックス!?」
     俺も驚いてマーヴェリックとフェニックスを交互に見ると、フェニックスが呆れた眼差しで俺に向かって口を開く。
    「私がアンタの隣にきたときから、ずっとマーヴェリックがこっちをチラチラ見てたの気づかなかったの?」
    「……」
     ハッキリ言って全く気づいていなかった。俺がマーヴェリックを目で追ってても、彼は一度も俺を見なかった。だから、みなと遊ぶのに夢中なんだと思って、そのうちに俺はフェニックスとの会話に引っ張られて、マーヴェリックをあまり見てなかったのだ。
    「嘘でしょ……」
    「……マジだ」
     隣から「oh…my……」とぼやきが聞こえてくるが、それどころじゃない。
    「マーヴ、ほんと……っ」
    「……見ないでくれ」
     信じられなくてマーヴェリックに俺たちを見ていたのか聞こうとしたが、それどころじゃなかった。目の前には真っ赤になったマーヴェリックが、口元を押さえて静かにパニックを起こしていたのだ。その姿を見て、フェニックスがいっていたことが本当だと確信する。
    「俺のこと気になった?」
    「その、違うんだ……疚しいことは、なにも……」
     ぼそぼそと言い訳をする姿に湧き上がったのは、不快感ではなく今すぐマーヴェリックを抱きしめたいという衝動。
    「フェニックスのいう通り、俺たちはただの同僚」
    「それは、わかってる……」
     きっといろんな考えを巡らせたのだろう。そしてそれらを否定されたことに、羞恥と申し訳なさを感じてるマーヴェリックのことを、俺は素直に愛おしいと思った。
    「は~やってらんない。マーヴェリック、このにやけた男をさっさと連れて帰ってもらえます?」
    「でも、みんなが」
    「だから、あなたたちがいなくなっても誰も気にしません。そんなことより、目の前でいちゃつかれるほうが迷惑です」
     ハッキリ、きっぱり宣言されてマーヴェリックが困った眼差しで俺を見上げてくるからたまらない。下がった眉尻と、困惑を浮かべるグリーンアイズに可愛いしかいえなくなる。
    「マーヴその目禁止」
    「そういわれても」
    「はいはい。二人とも、私のカウントが終わる前に帰ってくれる」
     じゃないとキルするわよ。と続けるフェニックスが腰に手を当てて、顎で帰れと俺たちに促してくる。少なくとも上官に対してあり得ない態度なのだが、マーヴェリックはそんなことを気にするタイプでもない。
     それでもなおも渋るマーヴェリックに代わって、フェニックスに声をかけた。
    「フェニックス、みんなによろしくいっといてくれ」
     陽が落ちてきたビーチは少し距離があると、もうあまり顔の判別ができないほどになっていた。そろそろお開きになるだろう。その後またハードデックに戻って飲むやつもいれば、帰るやつもいるはずで。確かに少し早めに俺とマーヴェリックがいなくなっても、それほど勘繰られたりはしないだろう。
     俺もできることなら、1秒でも早くマーヴェリックと二人きりになりたい。恋人になってまだ数日。これでも浮かれているのだ。
     俺がマーヴェリックの手を取ると、彼は一瞬ビックリしたようだったが、手を振り払われることはなかった。
     フェニックスが俺達から視線を外して、ビーチではしゃいでいる連中に視線を移す。
    「えぇ。ルースターが酔って吐きそうだからマーヴェリックが連れて帰ったっていっとくわ」
     そういって俺たちにくるりと背を向けた。フェニックスが、じゃあねと手を振るのを見送って俺たちも歩き出す。
    「行こう、マーヴ」
     そっと握った手を俺のそばに引き寄せた。隣に感じる体温に、自然と口角が上がる。
     青藍に染まり始めた空を見上げると、細く優美な弧を描く月が浮かんでいた。
    「月が綺麗だな」
     ポツリと隣から聞こえた声に視線を移すと、アルコールのせいもあるのか、ふにゃりと緩んだ表情を浮かべたマーヴェリックが月を見上げていた。
    「知ってる?」
    「ん?なにがだ、ブラッドリー」
     マーヴェリックはかなり酔ってさらに機嫌がいいらしい。
    「昔、日本人で"I love you"を"月が綺麗ですね"って約した人がいるらしいよ」
     日本にいたことがある同僚から聞いた話を唐突に思い出したのは、マーヴェリックが浮かべている表情があまりにも愛おしかったから。
     からかったつもりはない。ただ、それで驚くマーヴェリックが少し見たかった。
    「……知ってる」
     でも、まさかマーヴェリックからそんな反応が返ってくるとは、全く予測できなくて。驚いて、思わず立ち止まった俺に、マーヴェリックが何ともいえない、泣きそうな幸せそうな笑みを浮かべて、
    「知ってるよ、ブラッドリー」
     感極まったようなマーヴェリックの声が、俺の心を苦しいくらいに締め付けた。
     今はまだおっかなびっくり始まった、二人の関係。いろんな葛藤を抱えているだろうマーヴェリックの、とてつもなくわかりにくい俺への愛情表現。きっと伝わらなくてもいいと思いながら、それでも俺へ愛を伝えようとしてくれたことが、なによりもうれしい。
    「……そっか、うん。俺も……とっても月が綺麗だと、そう思うよ」
     そういって、俺は再び歩き出した。マーヴェリックと一緒に、ゆっくりと。
     俺達は暗くなっていく海辺の道を、言葉もないままゆっくりと歩いた。
     ゆるく、けれどしっかりと絡められた互いの指先に、この上ない幸せを感じながら。
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    koutgm

    MOURNINGお正月用に書こうとして諦めた🐔🐺 
    最終的に「夜明けを告げたおぼえはない」に落ち着いたけど、半端に書いてたの供養
     しっとりとした肌の感触とぬくぬくとした抱き心地のいい体。思わず真面目に考えた。大柄な部類に成長したのは、恋人を腕に閉じ込めるためだったんだな、と。
     寝起きでぼやけた視界に恋人の旋毛が見えて、そこに唇を押し当てる。
    「ん……」
     もぞり、と腕の中の恋人が小さく身じろぎした。お互い職業柄なのか、どっぷりと眠りに浸かっているようで小さな変化には敏感だ。とはいえ、今は安心できる場所にいるとわかっているからなのか、恋人もそれ以上の覚醒はないようだった。

     恋人であるマーヴェリックが住むモハーヴェにやってきたのは、クリスマスも過ぎた年の瀬も差し迫った頃。もしかしたら年内に会いに行くのは無理かもしれない。そんな考えが頭に浮かびつつも、なにがなんでも年内にマーヴェリックに会いたい気持ちで、ブロンコをかっ飛ばして、ようやっとマーヴェリックが住むハンガーに着いたのは、十二月三十日の深夜に近い時間帯。寝ずに待ってくれていたマーヴェリックを抱きしめて「ただいま」のキスをして、そこから先は記憶にない。
    1000

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