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    くごちゃん

    @9595Kugo

    SPN S1〜S15済 S/D再熱オタク
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    くごちゃん

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    ドラゴンサムに囲われるディーンを書きたかったはずなのに、ドラゴンサムとハイパー共依存ディーンになりました。ディーンの年齢はS1〜5位のイメージです。

    #S/D
    #SPN
    #サムディン
    samuddin
    ##S/D

    御伽話 日が落ち始め、肌を撫でる風が刺すような冷たさに変わってきた。「山の魔物に魅入られるから、狩りは昼間だけ」と言ってた祖父の言葉を思い出し、今日は小屋に帰ろうと決意した。山特有の静寂な中、自分の足音で落ちている枯葉でカサカサと鳴っている。
     祖父が亡くなった。鹿狩りを趣味にしていた祖父が広大な山を私有しており、彼が病で倒れてから全く手入れされてない埃まみれの小屋を掃除し、祖父に教えて貰った狩りをすることで故人を偲んでいた。山に滞在して三日目になる。まだ少し埃っぽい小屋で祖父との思い出に浸り、都会の喧騒に疲れた自分をリフレッシュさせたら、二日後には下山する予定だった。今日は何も狩れなかったから、持参してきたレトルト食品でいいか。
     肩に掛けてあるライフル銃を掛け直しながら、小屋に向かって歩いていた。
     突然、自分の足音とは違った、ガサガサと大きく動く音にライフル銃を構える。
     鹿にしては動くのが早い。ガサガサと鳴る音が徐々に大きくなり、心なしかこちらに向かっている。動き回る何かが鳴らす、カサカサという枯葉の音とバクンバクンと心臓の鳴る音が比例して大きくなっていく。
     目を凝らして動きに集中していると、揺れる木々の間から飛び出してきたのはなんと、若い男だった。
    「おい、ここは私有地だぞ。何してるんだ」
     驚いた俺は慌てて銃を下ろし、大声で警告した。
    「お願いがある、助けて欲しい」
     若い男が今にも泣き出しそうな顔で懇願している。
     オーバーサイズの少しくたびれた茶色の革ジャケットやジーンズに細かく枯葉がついており、汗でぐっしょりと濡れた姿から歩き回った様子が窺える。涙で滲み光っているヘーゼルグリーンの瞳と艶のある唇を振るわせ、ただでさえ美しい男が顔を歪ませている。窮地に陥っている人間にこんな感情を抱くのは大変下衆であるが、庇護欲を掻き立てられる可憐さと絢爛な男が弱っている様は凄まじい色気があり、ゾワリとするものがあった。
     おろおろと狼狽える妖艶な若い男に頼りにされたく、身を引き締め、落ち着いて話を聞き出す。
    「どうしたんだ? 一体何があった?」
    「弟を助けて欲しい。具合が悪いんだ」
     山に入るには余りにも軽装備な格好の若い男の名は「ディーン」というらしい。
     軽いキャンプするつもりで山に入ったら、弟の体調が崩れてしまったそうだ。携帯も不通で、二進も三進も行かなくなり、助けを求めている内に、山の奥へ奥へと入ってしまったそうだ。近くにキャンプが出来るような場所などあったか? と疑問に思いながらも、困っているなら救いの手を差し伸べるべきだとディーンが案内する、道とは言えない道をズンズンと進んでいく。
     それにしても、このディーンという若い男は不思議な色気を纏っていた。男臭い汗の匂いというより、彼の身につけている香水の香りなのか、濃く甘い匂いを振り撒いている。ディーンが、汗でべったりとへばりついたシャツの襟をパタパタと仰ぐとチラリと彼の乳首が見えてしまい、不謹慎ながらも小さく下半身に溜まる欲を感じた。自分の情欲を恥じつつも、隣を歩く綺麗な横顔を盗み見ては、絢爛なヘーゼルグリーンの瞳、唇と同じ色の乳首を頭から追い出せずにいる。
     色めいた欲を向けられていることも露知らず、ディーンは白く清らかな歯を覗かせて「あと少しだから」と俺に微笑み掛けた。

     ディーンに案内された場所は洞窟だった。祖父はこの洞窟を知っていたのだろうか? 
     祖父の山で初めて見る洞窟はかなり大きく、高さは背の高いディーンが大きく顔を上げて見渡せるほどで、一六〜二〇フィートはあるだろう。とても天井に手が届く高さではない。横幅も広く、大人四人が手を広げて歩いても悠々は通れるだろう。奥は深くなさそうだが、大きな石がゴロゴロと転がっており、足元は不安定だった。ただの石に混じり、ブルーにもブラウンにも似た、光の加減で色が変わる不思議な薄く平たい石も混じってある。薄暗く何処となくジメジメしたこんな場所に弟を置いてくるのか? と少々怪しんでしまったが、何か事情があるのだろう。洞窟の隙間から差し込む薄暗い光と、いつのまにか小さな懐中電動を取り出したディーンが照らす光を頼りに、弟がいるからと急くディーンの背中を追い掛けていく。

    「サム!」
     ディーンが寝込んでいる長身の男に駆け寄る。
     どうやらこの男が「弟」なのだろう。ディーンとは違った端正な顔立ちの男だった。元気のない弟「サム」を大切に抱え込み、サムの長く柔そうなブラウンの髪を優しく撫でている。サムの少し汗ばんだ額にディーンが優しく唇を落とすと、今度は頬に落とし、高く尖った鼻先にも唇を落としていく。カサついた少し開いたサムの唇に、ディーンが食むように舌を絡ませてキスする。洞窟の中でクチュクチュと湿った音が響いている。あれ? 弟じゃなかったのか?
    「サム、サミー、ほら。連れてきたぞ、遠慮せずに食えよ」
    「嫌だよ、ディーン。こんなことしたくない」
    「でも、食べなきゃ。そうだろ? 俺はお前に生きてて欲しいんだ。お願いだ、側に居てくれ」
    「ディー………お願い、嫌いにならないで。僕の側に居て」
    「分かってる、嫌いになんかならねえよ。大丈夫、一生ついててやるからな」
     おい、一体何の話をしているんだ? と声を掛けようとした時、サムの鋭く尖った漆黒の爪が異常な速さで伸びて長くなっていく。狼狽えているうちに大きく眩い青い光が洞窟を覆い尽くすと、ディーンに抱えられていたサムは消えていた。代わりに現れたのは——ドラゴンだった。
     漆黒の鋭利な爪を持ち、大きく裂けた口からは、肉や骨を噛み砕くだろう大きな牙が覗いており、ギョロギョロと光っている目玉の色は、サムの瞳と同じ色だった。ブルーにもブラウンにも似た、光の加減でキラキラと色を変える鱗でびっしりと覆われている。そして蝙蝠のようなブラウンの大きな羽根。御伽話に出てくる、ドラゴンそのものだった。先程まで広々としていた洞窟にギュウギュウに縮こまる大きなドラゴンに唖然としていると、とろんと溶けた眼差しで鱗をひとつひとつ丁寧に丁寧に撫でるディーンが甘やかすような、優しい母親のような声で「サミー、可愛い可愛いサム」と呼んだ。
     石に混じって落ちていた薄く平たい石はサムの鱗だったのかと気が付いた。
    「………………ディ、ディーン? ど、どういうこと?」
     絞り出すように喉から出た震える声でディーンに問いかけても、俺など見えていないらしく、ドラゴンを見上げている。大き過ぎる爬虫類のような足に寄り掛かり、冷たそうな鱗に頬擦りをし、額に唇を落としていたように優しくキスする。グルグルと低い唸り声を上げたドラゴンはディーンの頬擦りに目を細めて喜んでいるように見える。
    「お願いだ、説明してくれ」消え入るような声で頼んでいた。
    「分かるだろ? サムはドラゴンなんだよ。人を食べなきゃ死ぬんだ」
     相も変わらずうっとりした表情でサムを撫で回すディーンが、大木のような脚の鱗、ひとつひとつに触れるだけのキスをしたり、舌でちろちろと撫でていく。唇での愛撫に悶え、身を捩るように、ドラゴンのサムは低い唸り声を上げ、キュウーッと目を細めて喜んでいる。その姿を見たディーンが嬉しそうに、鱗に沿って舌全体を使って、べろべろと舐めていく。グウーと、洞窟に響く大きな鳴き声をあげたドラゴンのサムがフンと鳴らした鼻息は突風のようだった。
    「分かった、分かったよ」
     まるで犬と戯れているようにキャッキャと喜んでいるディーンが「召し上がれ」というと、牙の出ている口元からダラダラと涎が垂れて、大きな水溜りになっている。
     このままでは食われると、肩に担いでいたライフル銃で撃っても、ドラゴン相手じゃゴム弾のようにパチンパチンと弾くだけだった。バンバンと洞窟に響いていた銃声も、弾切れを表すカチカチとした音に変わる。ライフルを放り投げて出口に向かって走るも、鋭利な爪で器用に引っ掛けられ、ズルズルとサムの足元まで引き戻される。猫が鼠を遊びながら殺していくように、ディーンのサムへの猫撫で声を聞いてると、遊ばれながら殺されるのだと感じた。
    「助けてくれ、ディーン。俺が何をしたんだ」
    「運が悪かっただけだよ、すまないな。全てサミーのためなんだ」
     すまないと形ばかり眉尻を下げているが、絢爛なヘーゼルグリーンの瞳はドロドロに蕩けて興奮している。道すがらに「弟の為なら何でもする」と言ったディーンの言葉と「山の魔物は甘い香りがする」と言っていた祖父の言葉を思い出した。洞窟に響く俺の泣き喚いている声は誰にも届かないまま、きっとサムの腹の中へと消えていくのだろう。
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