『見合いの玉手箱』卒業式も無事に終わり、寮から出る日も間近。
今日は皆で共同スペースの最後の片付けに集まった。
この3年間で各々が置いた食器や食べ物、調味料も、雑誌や小物も手分けして片付ける。
作業が一段落し、帰る前に共同スペースで談笑したり、部屋に戻って片付けを続ける人もいた。
尾白もふっと思い出したように自室に戻った。
尾白は扉を開け放して自室に入る。
荷物はすっかり段ボール箱にまとめられ、部屋から出る日を待ちわびていた。
ぼぉっと部屋中を見渡して、3年間の思い出にふける。本当に世界が変わるほどいろいろあって、とても一言では言い表せないなぁと眉を下げる。
さいごに、と、そっと勉強机の引き出しを開けた。
片付けて空になるはずのそこに、華やかなオレンジ色のパッケージの箱が一つ。
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