たぶん、沖縄視線を下げると、サンダルをはいた虎さんの足が目に入ってきた。かわいい。僕が選ばせてもらった、クリア素材にきらっきらのラメが入ってるやつ。耐久性はなさそうだ。だって、足を入れてからまだ2時間くらいのはずなのに、もう足の甲についてたへにょへにょの花がひとつ取れてるんだもん。今ごろは砂浜のどっかに転がってるんだろう。
サンダルのデザインがどうこうっていうか、僕が選んだのを「じゃあそれで」ってしちゃうとこ。そういうのがかわいい。サンダルの色なんてなんでもいいですか。僕が履いてるような真っ黒い地味ーなのでも、そんなスーパーボールみたいに派手なやつでもどうでもいいですか? それとも、これがいいって思ってくれた? まだよくわかんない。まだ読めない。
「おー虎さん、いいサンダルはいてんじゃん」
遠くからちらっと見て軽く声をかけてきたふみやさんに、虎さんも軽く「でしょー」と応える。目立つもんね、そのサンダル。
ちょいっと足を寄せると、飛び出た爪先が触れ合った。
「や、やめてくださいよくすぐったい」
「ふふふふ」
――冗談みたいにあつかった。
君もこの36度がせいぜいの肌がふれあうことを、熱いと思ってくれてるかな〜。