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    mina

    @mina_bw18

    CPはブレトワ
    20220831〜書きたいままに
    ブレリンの世界にトワリンが来てる
    R18は18歳未満の方は見ないでください

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    mina

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    ブレトワ/色々と捏造だらけ
    ティアダム軸にトワよべたらな〜と思い書いたもの

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    朝がきたら、きみにおはよう


     四地方の天変地異を調査することになり、またこの広いハイラルの大地を旅している。道を進めて思うのは、ひとり旅はどこか寂しいということだ。数年前の旅は狼姿にもなれる勇者の先輩が、ずっと一緒だったから。
     旅立つ前にあの先輩をもう一度よべないか、右手をかざして試したことがある。結果はオレの目の前には肉の山が出来るだけで、トワの姿はなかった。日を改めても変わらなかったから、理由を考えてみた。いまのオレは以前のように、記憶を飛ばして右も左も分からない状態じゃない。だからひとりで出来るだろって、応えてくれなかったんだろう。そう思うことにして、無理やり納得した。
     あれからリトの村の問題を解決し、次の目的地へ向かっている時だった。途中に寄ったイチカラ村でマイホームを買えると知り、家があるとなにかと便利なので買うことにした。ハテノ村の家は、ある事情から手放してしまったから。
     そのために必要な、四桁を超えるルピーを貯めるのはきつかった。いらない物や散策して得た物を売り、何とか用意は出来たが、なかなか終わりが見えず果てしなく感じた。気づけば初めてここを訪れた時から、かなりの時間が経っていた。
     そして貯めたルピーで、マイホームを建てる広い土地を買った。組み立て式なことに驚いたが、入口とベッドの部屋はついてきたので、あとは武器スタンドの部屋を買って適当に合わせた。慣れない作業していると時間が立つのはあっという間で、日暮れの空に合わせるようにぐうと腹が鳴った。
     仕方なくポーチの中を覗いたが、食べ尽くしてしまったようで肉はない。しかし今のオレは肉が食いたい気分だ。どうしても肉が食いたいので、『先輩、肉ください』の想いを込めて久しぶりに右手を空にかざした。
     すると何もないところから、ぼとぼと肉が落ちてくる。極上ケモノ肉や極上トリ肉がたくさん降ってくるので、今日は当たりだ。ケモノ肉だけが申し訳程度に出てくる時に比べたら、大当たりの部類になる。
     それにしても、相変わらず不思議な光景だ。その時、肉の隙間から人の姿が見えた。
    「えっ?」
    「……いってぇ」
     大きな肉と一緒になって落ちてきたものに目を疑っていたら、随分と久しぶりに耳にした、聞き覚えのある声まで聞こえてきた。けれどそれはオレの願望が見せたもので、この肉の塊をどかしたらやっぱり何もない現実があるのだろうか。期待と不安を混ぜた気持ちを抱えたまま、そろりと近づいていくと肉の山がひとりで崩れた。
    「なんで肉に囲まれてんだよ」
    「トワ?」
    「ん? お前……、ブレか?」
     肉の山から姿を現したのは、もう一度と願ったことがあるトワだった。確かめるように名前を口にすると、こちらに気づいてくれた。記憶にある牧童の姿なので間違いない。眉を顰めて怪しむような表情はすぐにぱっと明るくなり、懐かしい声色でオレの名前を呼んでくれた。知らず頬が緩んでしまうのも仕方ないだろ、だってここにトワがいる。
     こくりと頷いてみせると、そんな格好だからオレだと分からなかったと言われた。改めて自分の姿を見下ろし、納得した。括るものがない髪は下ろしたまま、空島で見つけたトーガ服なので、トワには見覚えのないものだ。この辺りは動いていると暑く感じるので、この服は涼しくてちょうどよかったんだ。防御力がないから、こんな時にしか使えない。
     いまはそんなことより。
    「トワ!」
    「うぐっ!」
     気がついたら駆け出していて、驚いた表情をするトワに笑みを浮かべてそのまま覆い被さった。勢いがよすぎて下から潰れた声がしたが、苦情はこなかったので抱きしめる力を強くした。腕の中の姿は消えることなく、とても温かい。大きく息を吐けば、ぽんぽんと軽く背中を叩かれた。
    「……また俺はブレの世界にきたのか?」
    「らしいね」
    「ガノンはお前が倒したんだろ、なんで?」
    「厄災ガノンは倒したけど、それから色々あって……」
     ハイラル城の地下から瘴気が漏れ始め、その原因を調べに向かった。色々あって右腕をやられ、気づけば高い高い空の上でかなりの日々を過ごした。そして地上に戻ってきたら城は浮いているし、大地に大きな穴が空いていたりと、各地で様々な異変が起きていた。このままにはしておけない状況になっている。
     トワの記憶から片手以上の年が経っていること、新たな問題が発生していることを話した。
    「つまり、お前がやることはまだ残っていたのか」
    「そうみたい。トワにまた会えたのは、嬉しいけどさ」
     百年かけて治した身体で、めちゃくちゃ頑張って厄災ガノンを倒したのに。十分役目を果たしたと思っていたけど、そうじゃなかったらしい。勇者と言っても、他の人より少しばかり身体能力がよくて丈夫なだけだぞ。おかわりくださいとは言っていない。
     すっかり変わってしまったオレの右腕をなぞってから、トワはそっと手のひらを重ねてきた。優しく力を込められたので、同じように握り返してやる。
    「なんだよ、くすぐったい」
    「だって、こんなの気になるだろ」
     手を繋いだまま、指で撫でてくるから思わず笑い声が漏れた。そのうちもう片方の手も寄せて、両手で触れてきた。
     初めて見たトワが、気にならないわけがないよな。この腕の持ち主であるオレだって、いまだにじっと眺めたりする時があるくらいだから。
     そういえば、こんな風に他人に触れられるのは何気に初めてだ。監視砦で会ったプルアも驚いていたが、触ってはこなかった。トワはオレの腕を興味深く見るばかりで、引いた瞳を向けられなくてよかった。黒にも見える深い緑色に、硬くて不思議なモノが模様のようにたくさん付いているけど、オレの腕には変わりないから。
     トワ自身が狼姿になれるので、身体の一部が変わっても気にならないってことかな。
    「実はこの手、能力使うと光るんだぜ」
    「光る?」
    「そう、こんな風に」
     何でもいいから力を選んで使うと、鮮やかな緑色が薄暗くなった空気の中に浮かぶ。こちらを見つめる瞳は大きく見開かれ、驚いているのがわかってオレの口端が上がる。すぐに表情が表に出るところ、変わっていないようで嬉しい。新しく手にした能力の話もして、実際に見せてやろうとしたところで、忘れていた空腹を主張するように腹の音が鳴った。
     動きを止めてトワを見れば、聞こえていましたと言わんばかりに笑われた。
    「いつまでもこうしていないで、飯を食うか」
     ふたり揃って立ち上がり、組み立てたばかりの家へと向かう。扉を開けたら剥き出しの地面が広がり、部屋で四角に囲っているだけなのでこれを家と言っていいのか。当然のようにトワが鍋はどこだと問いかけてきたので、ポーチから簡易鍋をいくつか取り出す。いつでも使える鍋だけど、こういう時は一度で消える仕様は不便だと思った。
    「料理作れる部屋はあした買うから、きょうはこれで我慢して」
    「いいけど、部屋を買うってどういうことだよ」
     あとなんだよそれ、と奇異の目を鍋へと向けている。主に空島のギア製造機で手に入ることを、さらりと説明した。トワに詳しく話したら、俺もやりたいと瞳を輝かせそうだったから。間違いなく脱線する気配を感じたので、こっそり後回して話を戻した。
    「色んなタイプの部屋を買って、好きな組み合わせで作る家なんだよ」
    「へえ、おもしろそうだな」
     ここはイチカラ村から離れており、この家だけがある場所だ。ひとりで住むには少し寂しい。だから追加で買ったのも武器を置ける部屋だけで、ここには武器整理のために訪れ、ついでに寝るくらいだろうと思っていた。けれどトワも住むとなれば話は変わる。なので料理鍋の部屋以外にも、色々と揃えたくなってきた。
     いつも隅にいるグラネッダはもう帰ったらしく、姿が見当たらない。あしたトワと一緒に見て考えたいな。この家の簡単な説明と一緒に伝えたら、飯を食べたらもっと詳しく教えろと乗り気の返事をもらえた。
    「あー、うまかった」
    「相変わらずよく食うな」
    「腹減ってたから」
     空いている地面に隣り合って座り、肉を思い切り使った料理をたくさん作って食べた。どれも最高にうまかったけど、トワと一緒だから余計にそう感じたのかもしれない。
     食べ終わったあとも座ったまま、見上げれば星が輝く空が見える。ちらりと盗み見たトワも夜空を眺めていたが、気になるのかオレの右手をさりげなく撫でていた。少しくすぐったいけれど、やめてほしくないのでなにも言わなかった。離そうとしないトワに、オレの心がふわふわと浮かれている。
    「料理部屋以外に、トワはどんな部屋があるといい?」
     一度見せてもらった部屋の種類を思い出しながら、トワの希望も聞いてみる。
     ゆったりと寛げそうな広い部屋もあったので、もちろん候補に入れる。あとは花壇や庭池を置いてもいいかも。そういえば馬の部屋なんてものもあったな。世話が必要なものを選んだ場合を考えて、ひとつの疑問が浮かんだ。
    「なあ、トワはオレの旅についてくるの?」
    「……分身とはいえ、賢者ってやつが一緒なんだろ。だからやめとくよ」
     それにこの世界の様子もずいぶんと変わっているようだから、今回はここで留守番してるわ。そうすれば、お前もこの家に帰ってくる気になるだろ。その時にさ、旅の話を聞かせてくれよ。なんて続けられたら、頷くことしか出来ない。
     確かに空から地底まで、オレの行動範囲はめちゃくちゃ広がった。そうなると、ついてくるのは大変そうだ。うん、ここにいてもらった方がいい気がする。近場での散策くらいなら、付いてきてくれるだろ。今度誘ってみよう。
    「そっか。また簡単な祠を見つけて、ドヤるトワを見れると思ったのに」
    「なんだよそれ」
    「言葉のまま。狼姿のトワもかわいいと思ってたんだよ」
     懐かしい記憶に、どうしたって笑みが浮かぶ。
     確かに賢者の分身が一緒だけど、話すことは出来ないので寂しさはある。狼姿のトワみたいに声を上げたり、身体を伸ばしたり、ケモノ肉に喜んで跳ねたりな反応はしない。祠を見つけるのも、プルアパッドのセンサー頼りだ。
    「それより、この家をどうするか考えろ」
     オレにかわいいと言われ、わかりやすい程に頬を赤くして照れてるトワはかわいい。そんな顔をされたら弄りたくなるけど、久しぶりの再会で拗れたくないのできょうはごまかされてあげる。表情に出るのを隠せなくてにやついていたら、きつく睨まれてしまった。でもいまは、それすら楽しくて歪んだ顔が戻らない。
     だってこうしているあいだも、トワはオレの右手を握って離さないから。そうしてオレの側に、隣にずっといる。
    「待ってるトワが、過ごしやすい家にしたいな」
    「それは助かるけど、お前の家だろ」
     こうなったらトワが居心地のいい家にして、あきれるくらいここに帰ってきてやる。とりあえず目についたもの、なんでもウツシエに残してトワにたくさん見せてやろう。そう思えば、この旅を少しは楽しく感じられるかもしれない。
     どの部屋を追加し、どう組み合わせようか唸るトワを見て、大事なことを思い出した。
    「トワ、ごめん」
    「なにが?」
    「手持ちのルピー、そんなにない」
     空いた手でポーチを漁り、取り出したルピーは決して多くない。料理部屋は買えるだろうが、それ以上となると正直かなり厳しい。宿で休憩する時に使うし、場合によっては新しい服を買うこともある。しかも服の強化にもルピーがいるので、これまでの旅のあいだも余裕はあまりなかった。
     土地と家を購入する時にそれなりの額を出したのに、最低限の部屋だけで残りは課金制だと思わないだろ。だから武器置き場的な使い方をするつもりだったんだ。
    「だったら、少しずつ揃えていけばいいだろ」
     トワは好きにしていたオレの手の上から、自分のものを重ねて柔く握ってくる。さっきからずっとオレの右手を弄っているが、手元を見ていないから無意識なんだろうか。
    「またルピーを集めるのか……」
     四桁の過酷なルピー集めの日々から、やっと解放されたと思ったのに。
    「頑張れよ、ブレ。手伝えない代わりに、うまい飯作ってやるから」
    「言ったからには、たくさん作ってもらうからな」
     隠すことなくぼやけば、トワはいい笑顔でオレを励ましてくれた。あした部屋の値段を知って驚くなよ。しんどい作業だが、今回はトワの飯が付いてくるから前向きにやれそうだ。
     楽しみがあると思えば、単純だけどやる気が出てくる。肉こそ少ないが他の食材や素材はそれなりにあるので、夜が明けたらトワにも渡しておこう。ついでにレシピのメモも忘れずに。なにから作ってもらおうか、久しぶりのトワの飯に心が踊るのを止められない。
    「あとはあしたすることにして、もう寝ようか」
    「どこで?」
    「あのベッドで。前も狭いベッドに並んで寝てたし、いけるだろ」
     この家にある、ひとつだけのベッドを指差した。他に寝床はないので、一緒に寝るしかない。初めてのことでもないからいいだろう。オレの提案にトワは頷いてくれたが、落ち着かないのかその目は忙しく泳いでいる。
     腹が満たされたらあくびが次から次へと出てくるので、ベッドへ向かえば手を繋いだままのトワもついてくる。これはあしたの朝まで続くのだろうか。そんなの可愛すぎて、にやけてしまうだろ。もちろん解けないように、オレも握った手に少しだけ力を込めた。
    「ちょっと狭いけど、寝れるだろ」
    「そうだな」
     乗り上げたふたり分の重さに、ベッドが少しだけ軋んだ音を立てる。互いに向き合う形でシーツに収まれば、トワはまっすぐにオレを見てきた。こんなに近い距離で見つめられたら、どきどきするだろ。
    「なに?」
    「……なんでもない」
    「トワ〜? それ、なんでもないって顔じゃないんだけど」
     ふいと視線がそらしたトワの頬は、赤みを帯びているように見える。めちゃくちゃ気になるから、首を緩く傾げてその青の瞳をじっと覗いてやった。
    「な、なんでもねえから! おやすみっ」
     あっという間にトワの顔は隠され、背中を向けられてしまった。これ以上、無理に聞き出すのはやめておいた。下手なことを言って、ベッドから出て行かれたら困る。またはオレが追い出されても寂しい。
     もう会えないと思っていたトワがここにいる。だからいまは、これでいいんだ。
     目の前にある背中に寄り添い、そろりと伸ばした腕の中にそっと閉じ込める。トワはおとなしく収まってくれたので安心した。オレは相手がトワならきょうに限らず、ずっと一緒の寝床でも構わない。ひと部屋分のルピーも浮くので、さりげなく提案してみようかな。
    「うん、おやすみトワ」
     びくりと大げさに身体を揺らしたトワだったが、そのうちそっと手を重ねてくれた。以前のオレが見たら笑ってしまうほど、可愛らしいやりとりに喜んでいる自分がいる。
     結局、新しい能力は見せられていない。きょう話せなかったこともあるから、あしたはたくさん話がしたいな。だからちょっとだけ、冒険はお休みにしよう。触れたところから伝わってくるトワの体温が温かくて、オレはいつの間にか眠ってしまっていた。


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