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    piiichiu

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    piiichiu

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    初エッチした翌日のよはな。

    昨日、洋平とセッ……クス、を、した。

    男同士のそういうことは、結構大変で、かなり恥ずかしい。なにしろケツだから。普通ならウンコ出すとこだし。
    でも、オレは洋平が大好きで、洋平もオレが大好きで、オレたちふたりとも繋がりたいって思って、何ヶ月か前からちょっとずつ練習して、そんで翌日が体育館使えねー日だからって、昨日とうとう最後までした。
    高校三年生。夏のインターハイが最高の形で終わって、高校最後の夏休みも終わり、周囲は本格的に進路の話が出始めている。オレにも、バスケで大学の推薦の話が来た。中学んときのオレが聞いたら、びっくりするだろうな。推薦の話がたくさん来すぎて、どこに行くのか迷ってるなんて。 

    オレは、斜め二個前の席の洋平の後ろ頭を見つめる。3年になってまた同じクラスになったので、洋平の頭を見放題だ。オレは身長がでかいから、席替えの時も一番後ろの席に固定になってるから。

    「次、水戸」

    現国の教師が、洋平を当てる。洋平が次の段落を読み始める。洋平の落ち着いた声が教室に満ちる。千円札のひと、夏目ソーセキのこころ。Kとかいう名前が他人事みたいで、言い回しが小難しくて内容が頭に入ってこないのだが、洋平の声はきれいだ。透き通った風みたいな優しいすました声で、つっかえることなく読み終えて席に座る。そのまま、すまして座っている。あの声で、昨日の夜はあんなに恥ずかしいことを言ったくせに。

    『花道』

    昔から、洋平が己の名前を呼ぶ声が好きだった。洋平があの落ち着いた様子で話してくれると、ブチギレた時でも段々落ち着いてくる。ちょっとサイミンジュツみたいってくらい、オレは洋平の声に弱いのだということに、昨夜ようやく気づいた。

    『花道、いいこ。きもちいい?』

    身体が勝手に動いて、こくこくと頷いていた。初めてって痛いものじゃないの?でもこの日のために、ずっと準備してたからか、痛いことは何にもなくて、ずーーっときもちいいばっかりだった。

    『花道、大好きだよ、かわいい』

    洋平は、甘い声でずっとそんなことばっかり言っていた。オレはなんだか頭がふわふわして、洋平の手のひらで身体中を撫でられるのも気持ちよくて、変な声が出るのが恥ずかしかったのに、呼吸のたびに出るのが止められなかった。腹の中の洋平が、知ってる洋平のチンコの大きさの何倍にも感じられて、メチャクチャ大きなものが入ってる感覚だった。腹の中全部洋平に占領されて、アツくて、それがきもちかった。初めてなのに、こんなにきもちいのって、フツウ?わかんないけど、見上げた洋平が幸せそうに、でもなんか切なそうに、オレの名前を呼んで、それで腹がきゅううってなっちまって、ドコがとかわかんないけど、腹が全部アツくてきもちくて頭が真っ白になって…………

    「花道?」

    ビクンッ、と身体が跳ねた。教室の床と椅子が不恰好な音を立てて、クラスメートが振り返る。いつのまにか授業が終わっていて、洋平がオレの机に手をついて顔を覗き込んでる。オレは多分顔が赤くなっていた。チラッと自分の下半身を見て、ほっと息をつく。ギリ勃ってない。4分の1勃ちくらい。ギリ大丈夫。

    「平気か?どっか痛い?」
    「い、痛くねー」
    「メシ食い行こ」
    「ウン」

    9月、残暑は残るがだいぶ過ごしやすくなった屋上の日陰に、軍団が集まっている。オレは持ってきたおにぎりをもそもそと食べた。洋平は昨日と世界は何にも変わってませんみたいな顔で、忠とダベっている。
    このスカシヤロー。ホントはとんだスケベのくせに。オレがイってる間、洋平がずっとこちゅこちゅ中を捏ねるからきもちいのがずっと終わんなかった。そこら中を舐めて、キスして、オレの身体を好き勝手したくせに。

    「花道」

    またビクンッて身体が跳ねた。いつの間にか隣にいた洋平が、よりにもよって耳元で囁く。

    「本当にどこも痛くねーか?腰痛いなら、クッションかなんか持ってこようか」
    「痛くねーって」

    痛くないのは本当だった。洋平は最初から最後まで優しかった。ちょっとイワカンがあるのはケツのアナの部分……っていうか皮膚?が熱い感じはある。でもそんだけ。

    多分オレは、また顔が赤かった。
    忠と大楠が、あーー……と気の抜けた変な声を出して立ち上がる。

    「ハイハイどうも」
    「お幸せに」

    高宮をクリームパンで釣って、三馬鹿が屋上からいなくなる。
    途端に、洋平がするりと指を絡めてきた。

    「よ、洋平」
    「今日午前中さあ、ずっと花道のこと考えてた」
    「ン、ウン。オレも……」
    「今日、花道んち行っていい?なんもしないからさ。ただ一緒にいたいだけ」

    洋平が絡めた指を弄んでくる。昨日の夜も、終わった後ずっとこうしてたな。手繋いで、いっぱいチューして、洋平があんまりスケベだから。

    「きょ、今日はしねーの……?」

    洋平がビックリした顔をして、ゴクンと喉仏が上下したのを、オレはなんだかすごくエッチなものみたいに感じた。

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