洋平が花道のお尻を好きすぎるのをやめさせたい。
花道からそう相談を受けた大楠は、静かに一度深いため息をついて、こう言った。
「スマン、花道。オレの力じゃムリだ」
「ふぬ……」
唇を突き出して情けない顔をする花道の力になってやりたい気持ちは山々だったが、大楠にも出来ることとできないことがある。
犬にお座りやお手を躾けることはできるだろうが、犬の尻尾が揺れるのを止めることはできない。洋平の花道を愛する気持ちを止めることは誰にもできないし、洋平の花道のお尻を愛する気持ちを止めることも出来ない。そう告げると、花道はハッとした顔をして、
「そうだよな……スキって気持ちは止められるもんじゃねーよな」
と頷いた。いつまで経っても素直な男である。せめて話を聞いてやろうと、大楠はなぜ洋平が花道のお尻を好きすぎるのをやめさせたいと思ったのか聞いてやった。
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