わかってないから。 あんたが好き。
太陽みたいなあんたが。暖かで、眩しくて、陽光の様にみんなに等しく好意を伝えるあんたが。
でも私はあんたの特別になりたいと思ってしまう。
こんな考えをする私は醜い、なんて昔の自分なら思ってただろう。
実際、醜いのかもしれない。
だけど私は自分を卑下しない。
だってあんたが私を必要としてくれたから。 救い出してくれたから。 仲間だと言ってくれたから。
あんたは私を好きだって言うけど、きっとその好きは私の好きとはまた別物。
俺はナミが好きだ。
仲間も勿論好きだ。
けどナミはいくら好きだって言ったって相手にしちゃくれない。
俺の事をお子様だと思ってるんだ。
俺だって仲間の好きとナミへの好きは違うってことはわかるんだぞ。
だから今日もめげずにこう言ったんだ。
「おい、ナミ」
「なによ?」
「好きだぞ」
「…ハイハイ」
好きだって言ってもナミは嫌がらずにヘンな顔をする。
嬉しさと、苦しさを混ぜ合わせたようなそんな顔。
俺はそんな顔にしたくて言ってる訳じゃないのに。もっと笑顔でいて欲しいのに。
だから言うのをもうそろそろ止めようと思ってる。
だってナミには笑顔でいて欲しいから。
「ナミ」
「だからなによ?」
「好きだ」
「もうっ!最近なんなの?そんなに好き好き言いたいならウソップ辺りにでも言ってこればいいじゃない!」
これ以上、私を惑わさないで。
私が欲しい言葉はそうだけどそうじゃないの。
私に仲間に向ける感情と同じモノを向けてるルフィには、わからないだろうけど。
「それは違ぇ」
「どういう意味よ」
「俺はナミだから言ってんだ」
いい加減気づけよ。
俺がナミを女として好きだって。
それとも逃げてるのか?
そんなに解りたくもない感情なのか?
なあ、ナミ。
俺は難しい言葉はあんましわかんねぇんだ。
気づいてくれよ。
そんで、教えてくれ。
「ナミだから。ナミだけに言いたいんだ。」
「それって…」
「俺はナミを仲間としてだけじゃなくて女としても好きなんだって」
ナミの表情が変わったのが分かった。
そこには苦しさなんてものは欠片もなくて、驚きと嬉しさに溢れてた。
それがただただ嬉しくて。
好き…?
ルフィが?私のことを?女として?
なんだ、自分はなんて勘違いをしていたんだろうか。
今までの悩んでた自分が馬鹿らしくて堪らない。
ひとしきり笑ったらすべき事はただ1つ。
「私も好きよ、ルフィ」
伝えられてばかりで伝えられていなかった自分の気持ちを今度はしっかり口に出せた気がした。