揺れる赤 今日の分の仕事が終わり、事務所でかすみちゃんが淹れてくれたお茶を飲んで一息ついた頃。
「あの、事務所にラミネーターってありましたっけ?」
未だ残る仕事があるのか、パソコンを睨みながら眉間に皺を寄せたままの譲さんに尋ねると、少しだけ眉が和らいでぱちぱちと目を瞬かせた。尋ねるついでに譲さんのぶんもお茶も置いておく。少し冷めているけれど、すぐ飲む分にはきっとちょうどいいだろう。
「ん? 多分あったと思うけど……ちょっと待ってな」
すぐにデスクの奥の方からラミネートシートと一緒に持ってくる。その時目敏くお茶も見つけた彼は、ありがとうと言ってくれた。いつもよく周りを見ているひとだと尊敬する。
「何に使うんだ? あ、なんか学校で必要なものか?」
1971