タイトル未定+ + +
「やぁ、司くん。一緒にお昼ご飯でもどうだい?」お昼休み、類は司のクラスに行き話かけた。
「むっ。類ではないか。いいぞ!!!」
「...だが!!その手に持ってるのは何で野菜サンドなんだ!?またオレのお弁当と交換を狙ってるのか!!?!?」
「ふふふ。流石司くんだね。よくわかってるじゃないかい♪」
「いや、交換はしないぞ...。」
「何故だい!? 僕に野菜を食べろと言うのかい.....よよよ。」
そう言って泣き真似を始める類に司は呆れた顔をした。
「.....はぁ。仕方ないな。交換してやるから屋上にいくぞ!!」
「ふふふ。ありがとう、司くん♪」
類はスグに泣き真似を止めて司と屋上に向かった。
屋上に行くと(カップルか変人しか来ない為)相変わらず人が居ないのをいい事に2人はのんびりとショーの話をしつつお昼を食べはじめた。
お昼ご飯も食べ終わりゆっくりしていた司は「ふぁぁ...。」と少し欠伸をした。
「おや、司くん。眠そうだね…。それに少し目の下に薄ら隈ができているじゃないかい.....。昨日は寝れなかったのかい?」
「ん?....ああ。少し新しい脚本を書くのに夢中で徹夜してしまってな。」
「そうだったのかい。僕が言うのもあれだけど...徹夜はよくないからね。」
類は司の目元に出来た隈を指でなぞりながら心配そうにそう伝えた。
「あっ、ああ!!そ、そうだな!?」
突然の至近距離と接触に司は顔を赤くした。
そんな初々しい反応をする司にクスリと笑い「ここで少し仮眠をとったらどうだい?」と提案する。
「そうだな...このままでは授業中に寝てしまうやもしれん。」
「はい。じゃあ、膝なら貸すから横になりなよ。」
そう類に言われ少し躊躇したが.....眠気に勝てそうにない為「では....少しだけ。」と膝を借りる事にした。
「おやすみ。司くん。」
少し微笑みながら類は返す。
司と恋人になった今でも司からはなかなか甘えて貰えない類は時折、司を甘やかせる事が出来るとわかると司が甘えれるように催促する事があった。
本音を言えば、もっと司から甘えて欲しい類はその機会を逃さぬ様にしていた。
膝に頭をのせた意識がふわふわな司を類は司の柔らかな髪を堪能しつつ頭を撫で始めた。類に撫でられ、恥ずかしいが気持ちよくてスグに眠気が襲ってきた司はそのまま眠りに落ちていった──────
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少しして司は眠りから覚めると、ぼやけた頭で何処だ?と顔を上げよとすると類の寝顔が近くにあり「なっっっ!!?」と驚きつつ起き上がってしまい、寝ていた類とぶつかり類も痛みで目が覚めてしまった。
「「いたっ...!!」」
両者とも痛みで涙目になりつつ今の状況を理解した。
「痛たた....酷いよ司くん。」
「わ、悪い!!ビックリして!!!......いや!!それより何で類まで寝てるんだ!?」
「いや〜、司くんがあまりにも気持ち良さそうに寝ていたから...?」
司につられて自分も気づけば寝ていたと類は白状する。
「今は何時だ!?!!?」
慌てる司はふと空が夕焼け色に染まっている事に気づいた。
「類────!!!」
「いや、悪かったね。」
「授業がっ!!いや、バイト時間になるではないか!!!急ぐぞ類!」
バタバタと屋上から階段を駆け下りる司の後に続き類も歩きだした。
「すまん!待たせた!!!」
「おそい。向こうでえむと待っているから早く着替えて来てよね。」
そう言って寧々はさっさとえむの方に去っていった。
暫くして着替えた2人はえむ達と合流し少し練習をした後、少し前から皆で話していたセカイの皆へショーの練習やら相談に乗ってもらったりなどの日頃のお礼にとお菓子を持ち寄ってセカイに向かった。
セカイに着いた司達はテントに向かってショーの準備をしていたカイト達に話かけた。
「カイト!今いいか?」
「ミクちゃーん!リンちゃーん!来たよ〜。」
「おや。司くん達、いらっしゃい。」
「あ〜☆ 司くんにえむちゃん達も!!皆、いらっしゃ〜い☆」
次々とそれぞれが挨拶やら話をしつつ当の目的を忘れそうになり...ハッ!と思い出した司はカイトに他のメンバーやぬいぐるみ達の皆が集まる様にお願いした。
「司くん、どうしたの〜??」
「ああ!急に集まって貰ってすまんな。オレ達から皆に日頃のお礼に少しばかりのお菓子を用意したんだ!良かったら食べて欲しい。」
「わぁー!美味しそうなお菓子がいっぱい!!レン!レン!どれにする?」
「うーん。悩むなぁ〜.....あっ!リン。違うやつ選んで半分こしよう!」
「やった〜!するー!!」
ニコニコとそれぞれがお菓子を手に取り美味しそうに食べる皆を司達は微笑ましそうに見守った。
「「「「「ご馳走さま〜」」」」」
それぞれがお菓子を食べ終わった為、司は片付けを始めようと寧々やえむに声をかけ類にも声をかけようとすると類の回りにぬいぐるみ達が群がっている事に気付いた。
なんだ?また機械か何か作っているのか?そう思い類に近付くと.....「ルイくん!次はボク!!」と1匹のぬいぐるみが類の膝の上に座った。
「ふふふ。次はキミだね。」
そう言って類は頭を撫で始めた...。
類からのなでなでにうっとりする様にするもの。ニコニコと笑顔になるもの。反応は様々だけど全員が気持ち良さそうにしているのは一目瞭然だった。
「あっ......。」
「司?どうしたの??」
「..............いや、何でもない。」
そんな司に寧々は訝しげにしたが「...そう。」とだけ言って片付けを再開した。
寧々には何でもない。と言ったものの司の心は少しばかり荒れていた。
「(なんだ.....!?何でこんなにモヤモヤするんだ?類と撫でられて楽しそうにしてるぬいぐるみ達を見てると何故だか.......。)」
そこまで考えた司は頭を振ってある欲を否定した。己自身も類からまた撫でられたい。ぬいぐるみ達が羨ましい。と思ってしまった事に対して。
「司くん???」
「え......、あっ。類!何でここに!?ど、どうしたんだ!?」
「いや、片付けを...と思ったんだけど。司くんが挙動不審だったから。」
そう言って類は司に手を伸ばした。
......が司からあっさりと避けられ類は「え?」となった。今....避けられた?と。そんな驚いた顔をした類に反射的に避けてしまった司はしまった...!となり司にしては小さ過ぎる声でごにょごにょといい訳をした。
「類....。そのだな。その.........。」
どういい訳をしたらいいのか分からない司は結局何も言えずに黙ってしまうしか無かった。
そんな司に類はちょっと来て。と今度は避けない司の腕を掴んでテントから連れ出した。
暫く歩き黙り込んだままの司を連れた類は人気のないベンチに司を座らせて自身も隣に座って話かけた。
「司くん、僕は何か怒らせる様な事をしてしまったかな?」
「違っ.....!?違うんだ....類は何も悪くないんだ。ただオレが.............」
「オレが....どうしたのかな?」
「.........................嫉妬したんだ。」
「え?」
「だから.....っ!!オレが勝手にぬいぐるみ達に嫉妬したんだっ!!!類に撫でられてるアイツらが羨ましいって...」
やけくそで叫んだと思いきや最後は少し気まずそうに話す司に類は笑った。
「そうかい。...ふふふ。」
「なっ!?笑い事では!!」
「ごめんよ。だけど嬉しいんだ。」
「類?」
「だってぬいぐるみくん達に嫉妬をしてくれる程に僕の事が好きなんだろう?」
「んぐっ!!!そうだが...っ!.......嫌では無いのか?」
「何故?僕はね...キミに甘えて欲しいんだよ。他でもないキミだけに。」
不安そうな司と対象的で笑っている類は、嬉しさのあまり司を抱きしめた。
そして、頭をひと撫ですると少し離れ額、目元、頬、最後に口にと軽くキスをした。
類にされるがままの初心な司が真っ赤になりつつ固まってる事をいい事に類はもう一度抱きしめながら司を撫で始めた。
そんな類に固まってた司も徐々に体の力が抜けていく様に類に体を預け少し甘えるように擦り寄り安心したように目を閉じ始めた。
お互いに言葉は無くとも今ある空間がとても愛しくて大切でずっと続けばいいと思っている事が互いに分かるような気持ちがあった。
「なぁ....類。オレは常に兄であり座長でもある。だが、お前の前では座長としてのオレもだが....天馬司自身として居られるんだ。」
「司くん....」
「類にはかっこいいもかっこ悪いも全て見せれるんだ。類はそんなオレでも好きでいてくれるか...?」
「司くんは僕がかっこ悪かったら好きじゃなくなるかい?」
「そんな訳ないだろう!!?どんなお前でも気持ちは変わらない!!」
「僕も一緒さ。どんなキミでも愛してるんだよ。キミが思う以上に。」
その後はもうこれ以上言葉は必要ないだろうと互いに口を寄せあい、口付けを交わした────
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そよそよと風が流れる屋上で司は類の膝枕で気持ち良さそうに寝ていた。そんな司に類は愛しそうに見つめた後に頬を優しくひと撫でした。
END