昼 二人揃って目を覚ましても肌寒さと互いの体温のあたたかさに離れがたくて結局だらだらとしてしまった。でも昼も近くなると腹も減るというわけで、朝よりも多少は温かい気温にやっと布団から脱出した。
「起きようか、お腹すいたでしょ」
「すきました」
布団から這い出た身体は服をまとってないから目に毒だ。暗い中で見るのも素敵だけど、昼のさなかに見るのは明るさと淫靡さが混じって奇妙に美しい。起き上がった身体から布団が滑り落ちて昨晩俺がつけた痕がはっきり見える。だから目に毒。
俺もお腹すいたし、とキッチンに向かう。これ以上見てるとまたベッドに逆戻りしてしまう。何があったかな。朝ごはん兼昼ご飯になりそうなものを探していると後ろから抱き着かれた。もちろん抱き着いてきたのはジュウォンだ。やっぱりこの人、体温が高い。
「昨日の残り温めたやつでよくないですか」
「いいの?」
彼は食べるならきちんとしたものがいいのかと思っていたのに。まだ眠いのかジュウォンが俺の首筋に懐くように額のあたりを擦り付けてくる。今絶対かわいい顔してるけど後ろにいるから見えない。見たい。
「ジュウォナ?」
「なんでもいいです。……今日寒いからくっついてたい」
寒い日最高だな。俺の恋人がこんなにもかわいい。どうしてもかわいい顔が見たいから振り返って、ちょっと恥ずかしいのか赤みがさしている頬にキスをする。口じゃなかったのが不満なようだったのでもちろん唇にもキスした。俺のほうが低い身長は彼の表情を余すところなく見られるから悪くない。
「じゃあご飯は適当飯だ。それから今日はくっついていましょうね」
俺の提案にこくんと頷く様子はどこかいとけない。俺より身長も高いし体格もよくて、優秀で美しいこの青年。俺の恋人でとびきりかわいい人。寒いからなんて理由をつけなくてもくっついてたいだけくっついていいのに。
それから大して手間をかけない食事を終えて歯磨きをすると、まだジュウォンはどこか眠そうにしている。いつもなら絶対受け入れられないだろう提案にも今日は頷きそうだ。
「ジュウォナ」
「はい」
「寒いし、またベッドに戻っちゃう?」
昼まで寝て、食事してまたベッドでだらだらするなんて以前のハン・ジュウォンなら絶対に頷かない。そんな怠惰なことできません、なんて顔をしかめていたはずだ。
「僕また寝ちゃいそうです」
「いいよ。今日は休みだし、寒いからね」
ジュウォンは少し考えて、それから寒いですもんね、とつぶやいてから頷いた。
そうそう、寒いから。今日はくっついていよう。