随分と日の翳りが早くなったもので、夕刻、薄暗い周囲は街灯の明かりなしでは心許なくなっていた。
茜色から藍色一色に移り変わり、まばらに散った星々が目立ち始める冬空の下、スーパーで買った惣菜の詰まった袋を片手に、宮内は一軒の家の前にいた。
住宅街の角にあるその家は、古ぼけた庇の上に『駄菓子いぬ屋』の看板が掲げられていて、昔も今も変わらない見慣れた風景に不思議と安心感を覚える。
店はすでにシャッターが閉まっていたが、宮内は当たり前のように店舗の反対側に回ると、そこにある裏口のチャイムを押した。
「やあ、上がれよ」
中から鍵を開ける鈍い音がして、寒さに縮こまり半纏を着て丸くなった顔見知りの家主が姿を現す。
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