紅葉 彼と歩いていると、独りで散策をしている時とはまた違った趣がある。季節が移り変わり、先日まで青々としていたイチョウの葉は、段々と色づき黄金の色に染まっていた。ハラハラと舞い落ちるそれを見て、美しいと思った。
それは、隣に歩く彼の瞳と同じ色をしているからそう思うのかは定かではない。太陽の光を浴びて輝き、枝にとどまらず風に乗って飛んでいく様が、どこか魈に似ている気がしたのだ。
「ほら、魈、見てくれ」
風の乗るそれを指でつまんだ。まだ泥にも塗れず、裂けた様子もない綺麗なイチョウの葉だ。それを魈に見せた。すると魈は、しばし考え込んでしまった。また真意がわからないなどと思っているのだろう。ただ、お前の瞳と同じ色をしたそれが綺麗だったから、見せたかったのだ。
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