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    sayuta38

    鍾魈短文格納庫

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    sayuta38

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    鍾魈短文、一休み

    #鍾魈
    Zhongxiao

    一休み「なんだ、ここに居たのか」
     望舒旅館のオーナーに魈の所在を尋ねてみると、ここ数日姿を見ていないと返答があった。
     いつもなら出直すところだが、こっそりと彼の気配を辿ってみると、意外と近くにいることがわかる。オーナーに礼を告げ、魈の居る方向へ足を進める。望舒旅館の近くの木々の下に魈は居た。
     体躯をぐっと丸め、陽が当たらない雑草の上で眠っている。鍾離が声を掛けたにも関わらず、彼は身動ぎ一つしなかった。相当疲れているのか、或いは……。
     最悪のケースを想定し、魈に近寄り座り込んでよくよく観察してみると、僅かながらに胸は上下していた。良かった、無事であるようだ。
     気付かれないように手を翳し、魈へと神力を送る。そこまで毎日戦いに明け暮れなくても良いと何度も伝えてはいるが、彼は意外と頑固であることは鍾離もわかってはいる。
     眠りを妨げるのは本意ではない。起きたらまた姿を消して降魔へと向かってしまうのだろう。折角姿が見れたのだ。もう少しだけ彼の傍にいるのも悪くない。
     懐から書物を取り出し、続きを読み進める。木々の音、鳥のさえずる声、なるほど、休むには適した場所である。
     たまにはゆったりとした休息も必要だ。俺も、お前もな。


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    sayuta38

    DONE鍾魈短文「恋とは、どのような」
    自信満々に告白しにいったら魈くんに振られる話です。
    恋とは、どのような 俺には、絶対的自信があった。
     封印した魔神は数しれず、どれだけの民を救ったかもわからない。魔神でありながら民の信用を得、契約を以て契約の通りに責務をこなす。傲慢だと言われても、俺の所業は書物に多く残されており、そのほとんどが事実だ。今思い返すと、若かりし頃の勇ましい記録も残っており、燃やしてしまいたいと思ったこともあるが、まぁいいだろう。
     それはさておき。俺は最近気づいてしまったのだ。魈のことを好いているのだと。
     神であった頃も気には掛けていたものの、それ以上の気持ちはなかったように思う。凡人としてゆったり生活していると、なぜだかよく足が望舒旅館へ向くようになったのだ。魈がいない時もあるが、見つけると自分の心が嬉しく思っているのを感じる。何か話がしたくて、要点もない話をして引き止めてしまうこともあった。魈は困惑の表情をしていたものの、決して嫌な顔はしていなかった。そればかりか、俺が声を掛けるといつも少し慌てだして、俺が訪れた真意をいつも探ろうと必死になっている。可愛らしいことこの上ない。魈は中々俺に近寄っては来ないが、俺から行くと少しだけ嬉しそうな顔をする。俺にはわかる。魈も俺のことを好いているのだと。思い返せば思い当たる節がいくつもあった。間違いないと思っていた。
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