Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    sayuta38

    鍾魈短文格納庫

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 115

    sayuta38

    ☆quiet follow

    鍾魈短文、一休み

    #鍾魈
    Zhongxiao

    一休み「なんだ、ここに居たのか」
     望舒旅館のオーナーに魈の所在を尋ねてみると、ここ数日姿を見ていないと返答があった。
     いつもなら出直すところだが、こっそりと彼の気配を辿ってみると、意外と近くにいることがわかる。オーナーに礼を告げ、魈の居る方向へ足を進める。望舒旅館の近くの木々の下に魈は居た。
     体躯をぐっと丸め、陽が当たらない雑草の上で眠っている。鍾離が声を掛けたにも関わらず、彼は身動ぎ一つしなかった。相当疲れているのか、或いは……。
     最悪のケースを想定し、魈に近寄り座り込んでよくよく観察してみると、僅かながらに胸は上下していた。良かった、無事であるようだ。
     気付かれないように手を翳し、魈へと神力を送る。そこまで毎日戦いに明け暮れなくても良いと何度も伝えてはいるが、彼は意外と頑固であることは鍾離もわかってはいる。
     眠りを妨げるのは本意ではない。起きたらまた姿を消して降魔へと向かってしまうのだろう。折角姿が見れたのだ。もう少しだけ彼の傍にいるのも悪くない。
     懐から書物を取り出し、続きを読み進める。木々の音、鳥のさえずる声、なるほど、休むには適した場所である。
     たまにはゆったりとした休息も必要だ。俺も、お前もな。


    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💜💜🌋❤
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works

    recommended works

    sayuta38

    DONEしょしょドロライ10回目
    (お題9回目)ホワイトデー
    ホワイトデー「この日に手伝いを頼みたいのだが、空いているだろうか」
     鍾離が指しているのは三月十四日だった。特に何の疑問も持たずに二つ返事で魈は了承し、当日鍾離の家へと訪れていた。
    「朝からすまないな。装具を外して上からこれを羽織り、そこの紙袋を持って俺と共に璃月港を回って欲しいんだ」
    「……承知しました」
     凡人に扮して鍾離の手伝いをして欲しいということなのだろう。手伝いならばといそいそと葬具を外し、身の丈程の長い外套を羽織った。紙袋はいくつも用意してあり、確かに鍾離一人で持ち歩くには大変そうだった。
    「では行こうか」
    「はい」
     璃月港を鍾離と共に歩く。何処へ向かうのかと思ったが、三歩程歩いたところで鍾離が女人に話し掛けていた。魈の知らないただの凡人へ、鍾離は紙袋から一つ包みを渡し手短に会話をした後、別れの挨拶をしていた。そして、また三歩程歩いては別の女人へと声を掛けに行っている。何用で女人へ話し掛け、何用で包みを渡しているのか、魈へ説明がなかったので想像もできなかった。これは一体どういうことだろうか。疑問を口にしたくても次から次へと鍾離は女人に包みを渡すべく声を掛けているので、口を挟むこともできなかった。
    4178