未完話1「魈。これから先も、ずっと俺と共に生きてくれないか」
「……断る理由はありません。我も、鍾離様の傍にいることが許されるなら、この命が尽きるまで傍にいます」
軽い言葉ではないと思っていたが、この鍾離の言葉が、それ以上の意味を持っていたと気づいたのはそれから数日経ってからであった。
凡人で言うところの伴侶というものに該当するらしい。良かったね。と旅人に言われ、心当たりが全くなかったので「何がだ?」と聞いてみたところ、鍾離の方から旅人に報告があったという。
『ついに魈が承諾してくれたんだ』
六千年の時を思わせないような朗らかな笑みで、それはそれは嬉しそうに旅人に話をしていたらしいので、その表情は是非とも見てみたかった。と思う反面、あの時の言葉はそういう意味だったのかと驚いたものだ。
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