『喧嘩のあとは』
朝霧がグランドラインの大海原を覆っている。
ウイスキーピークを出て間もなくのメリー号は、一路リトルガーデンに向けて航海中。
一味にプラスαを加えての早めの朝食を終え、ゾロが酒瓶片手に食堂を出ると、船首の特等席にぽつんと跨っている船長の後ろ姿を見つけた。
赤ベストと黄色い麦わら帽子、けれど白い霧がその輪郭すらぼやけさせるのに。
「ルフィのやつ、前も見えねェのに何やってんだ?」
先ほどの食事中の船長の様子をゾロは思い起こす。
食べ始めた頃は普段通りのルフィだったのだ。
新しく加わった王女や、カルガモの話で盛り上がり、それなりに楽しんでいたようなのにだんだんと口数が減り、とうとう喋らなくなってしまった。
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