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    eiri_koitsuki

    ゴカム腐、鯉月。妄想吐き出し用。

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    eiri_koitsuki

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    ゴカム15巻のネタ。
    ケータイでベタ打ちの落書き。

    #月島基
    tsukishimaBase

    二度目の葬送(月島 ゴカム15巻ネタ)たなごころから零れたものは、一秒の後には水面に触れた。そこに夜目にも白い波が被さる。揉まれて揺れる髪。海風に揺れる彼女の髪。はじめちゃん、と呼ぶ声。もう見えない自分の心。何もかもが混ざり合い、瞬きひとつの間もおかずに見えなくなる。
    月島基はその一部始終を静かに見届けた。

    風の音。波の音。静けさに満ち満ちた夜。足は動かず、視線も動かない。心も凍りついたようだ。驚くほど何も感じない。
    一度目は、と思い出す。親父を殴り殺したあの日だ。彼女が死んだと聞かされた時、月島は喪失の悲しみではなく理不尽への怒りに全てを委ねた。父親を殺せば自分がどうなるかなんてわかっていた。わかっていても堪えられなかった。
    月島はいつも怒りを腹のうちに抱えていた。ままならない人生、他人から向けられる悪意。故郷における幸いがあったとしたら、それは彼女だけだった。
    そして、二度目。月島は自らの手でよすがさえ殺したのだ。一度目の喪失に覚えた怒りは欠けらも無い。ただ、冷ややかな断絶の気配を感じる。失われたと思っていた何がしかは、月島が知らないでいただけで今日この時まで繋がっていた。それを今、自分の手が断ち切った。
    (そうか。俺がお前を殺したのか……。)

    月島基は今日死んだ。
    俺が俺であったことを「私」はもう思い出すまい。
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    suzumi_cuke

    MEMO20220422 大団円後のモブ視点鯉月if話のプロットです(プロットではないです)。時代考証とか何も考えてません。追記:さすがに佐官は盛りすぎました。
    金塊争奪戦後の鯉月ifサッポロビール工場や五稜郭の戦いはロシア人ゲリラたちの鎮圧のため、列車内の惨劇はヒグマと土方歳三率いる脱獄囚によるものということになった。部下を多数失ったことや権利書を横領しようとした件は行方をくらませた中尉に全ての罪をひっかぶせて、残った部下を守るために少尉は奔走する。親が軍高官であることや、中尉に騙されていたむしろ被害者であること、顔に大怪我を負ってまで戦い抜いたことが評価され、少尉の罪は不問になる。
    だが中尉の腹心の部下で下士官だった軍曹は罪を免れることは出来ず、また本人もそれは望まなかったため、免官となり再び陸軍監獄へ入ることになった。

    何年かが経ち、そんな争奪戦のことも知らない若い兵士が新たに師団へやってきて、進級して大尉になっていた鯉登元少尉の下につく。休暇ともなると、鯉登閣下は誰にも何も言わずに外出しているので、ある時どこへ言っているのか尋ねると「想い人に会いに行っている」のだという。それからも時々休み明けに気力充実している鯉登閣下の顔を見ては、「あ、想い人に会ってきたのだな…」と部下は微笑ましく思っていた。いつも閣下が会いに行くばかりで、一緒に外出やご旅行などもされた様子が無いし、もしやその想い人とはどこぞで囲われている芸者か遊女であるまいか、と心配にもなったが、何より鯉登本人が嬉しそうなのである。「囚われの姫のようですね」と言うと、鯉登閣下はキョトンとした顔になってから大笑いして、姫か、それはいい、あいつはどんな顔をするだろうなと目を細めた。
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