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    eiri_koitsuki

    ゴカム腐、鯉月。妄想吐き出し用。

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    eiri_koitsuki

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    ゴカム15巻のネタ。
    ケータイでベタ打ちの落書き。

    #月島基
    tsukishimaBase

    二度目の葬送(月島 ゴカム15巻ネタ)たなごころから零れたものは、一秒の後には水面に触れた。そこに夜目にも白い波が被さる。揉まれて揺れる髪。海風に揺れる彼女の髪。はじめちゃん、と呼ぶ声。もう見えない自分の心。何もかもが混ざり合い、瞬きひとつの間もおかずに見えなくなる。
    月島基はその一部始終を静かに見届けた。

    風の音。波の音。静けさに満ち満ちた夜。足は動かず、視線も動かない。心も凍りついたようだ。驚くほど何も感じない。
    一度目は、と思い出す。親父を殴り殺したあの日だ。彼女が死んだと聞かされた時、月島は喪失の悲しみではなく理不尽への怒りに全てを委ねた。父親を殺せば自分がどうなるかなんてわかっていた。わかっていても堪えられなかった。
    月島はいつも怒りを腹のうちに抱えていた。ままならない人生、他人から向けられる悪意。故郷における幸いがあったとしたら、それは彼女だけだった。
    そして、二度目。月島は自らの手でよすがさえ殺したのだ。一度目の喪失に覚えた怒りは欠けらも無い。ただ、冷ややかな断絶の気配を感じる。失われたと思っていた何がしかは、月島が知らないでいただけで今日この時まで繋がっていた。それを今、自分の手が断ち切った。
    (そうか。俺がお前を殺したのか……。)

    月島基は今日死んだ。
    俺が俺であったことを「私」はもう思い出すまい。
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    DOODLE【壮年鯉月】少し不思議なやつ「基、何だか居間が殺風景に思わんか。よう分からんが絵なと買って飾ろうと思うが、好きな柄とかないか」
    「柄って……まあ自分も芸術なんとは疎遠ですから分かりかねます。画廊など見て廻られて、何となしで良いのではないですか」
    「私とお前の家に飾るのだから、それなりのものが良い」
    「二人してそれなりも分からないと言うのに、何を選ぶことがありますか。風景画でも見繕ってみるのがいいんじゃないんですかね。それか気に入った金に困った画家から複数枚、買ったって損はないでしょう」
    「…お前以外のパトロンになる気はないぞ」
    「私はパトロンと添い遂げるつもりなとないですが」
    「ン"ン!それもそうだな!」
    「赤くなってらっしゃいますがね、私に失礼なことを言ったと自覚がないようでしたら…」
    「すすすすまん!言い過ぎた!おいの負けでよか!」
    「謝るのだけはお上手になりましたね」
    「くっ…!ええい、都合をつけて今度街にでも出るぞ!」
    「音之進さん、これがいいです」
    画廊の隅で埃を被った額縁を指差した月島が、鯉登袖を引いた。
    「何じゃ?……海の絵か」
    「大きさも申し分ないでしょう」
    「まあそうだな。おい、これを包んでくれ 1116