生まれ変わっても ―――生まれ変わってまた会えたら、お嫁さんにしてね
所詮は死に際の戯れ言だった。別に本当にそうして欲しいとかそういうことではなくて、単に、死ぬ前に少しシャンクスの事を困らせたかっただけだった。
久しぶりに見たレッド・フォース号の内部に感慨に耽る余裕もなく吐血を繰り返して、船医であるホンゴウさんは私を抱くシャンクスに急いで船医室に連れて行くよう指示をしていたけれど、すでにもう、時間が無い事を私自身が一番よく分かっていた。
船医室ではなくシャンクスの部屋がいい、と言った私に、ホンゴウさんは尚も何か言い縋ろうとしたけれど、一連の話を聞いていたベックさんがホンゴウさんの肩に手を置き何も言わず首を横に振った。次いでシャンクスに目配せすると、シャンクスは浅く頷き船医室に背を向けて歩き始めた。…シャンクスの腕の間から、ホンゴウさんが崩れ落ちるように床に膝をついたのが見えた。
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