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    cobi_brawn

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    cobi_brawn

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    人生で初めての投稿です。慕情の内心がこんなだったらめちゃめちゃ滾るなぁという妄想の産物。自己満足の結晶です。生暖かい目で見てやってください。ぶっちゃけ尻切れトンボ。

    #天官賜福
    Heaven Official’s Blessing
    #TGCF
    #風慕
    windMuse
    #風信
    windGod
    #慕情
    mood

    ご都合仕様で相手の内心が聞こえちゃうやつ慕情は本当にツンデレな男だ。
    本心では人に感謝したり、相手を褒めたりしているのに口では素直に出せず、真逆の発言をしてしまう故に、その怜悧な相貌と相まって嫌味な奴だとか冷たい人だとか言われてしまう。それでも慕情は構わなかった。
    しかし恋い慕う相手にもツンを発動してしまい、その人を毎度怒らせてしまうことだけが慕情にとっての悩みであった。
     

    その日、風信と慕情は珍しく共同の鬼狩りの任務に当たっていた。
    その任務の最中、残り一体の鬼が切られた瞬間、最後の足掻きとばかりに灰紫色の霧毒を慕情に向かって吐き出した。
    「危ないっ!」
    風信は慕情を突き飛ばして霧から庇い、代わりに思いっきり風信は霧を吸い込んでしまった。
    ゴホゴホと咽せている風信のそばに瞬時に駆け寄り
    「なぜ庇った!あんなのすぐにかわせたのに、私を見縊っているのか!」
    慕情は怒鳴りつつも、未だに咽せている風信の背中を摩る。その時に見えたのは何故か泣きそうな彼の表情で背中を摩る手がどこか優しく感じた。
     

    咳が止まり、呼吸が落ち着きはじめる。
    すると、
    『何故私なんかを庇ったのだ。考え無しめ!こっちの気も知らないで。
    呼吸は落ち着いてきたが、大丈夫だろうか?多少毒に耐性があるとは言え、速く天界に戻らなければ・・・』
     
    いつも以上に饒舌でいつもより穏やかな口調の慕情の声が聞こえた。
    聞き間違いかと思った。
    いつもなら
    「庇っておいてその様とは情けない」
     
    くらいの嫌味は言ってきそうなのにと考えていると、背中から手が離れ、
    「最後の攻撃、かわせないくせに他人を庇うなどお人好しにも程がある」
    といつもよりは大人しい嫌味を頂いたが、風信は先程の幻聴のおかげか怒りは湧かなかった。
     
    霧毒のせいでふらつく風信に慕情は寄り添うように肩を貸してくれた。
    着痩せする質なのか武神のくせに見た目よりもずっと薄い肩に何とも言えない気持ちになりつつも、有難く体重をかける。
     
    『肩を貸したはいいが、密着しているのは落ち着かないな。嫌ではないが、
    いや、むしろ役得か。・・・負傷した者に対して不謹慎な!
    しかしなんだ、風信は弓使いだから腕は太いし、胸も厚い。男らしくて逞しい、羨ましいな。』
     
    かすかに聞こえてきたのは確かに慕情の声なのに、喋っている内容は全く彼のものとは思えない。
    「今何か言ったか?」
    「なんだ、毒にやられて耳もおかしくなったのか?私は何も言っていない。」
     
    やはり聞き間違いのようだと思い、歩くことに集中しようとすると
    『幻聴が聞こえるほど毒の影響が酷いのか?早く天界に帰って治療してやりたいが、私なんかに手当されたくないだろうし、南陽殿の神官に任せるしか、、、いや、しかしこんな状況の風信から離れるのは嫌だ!何かそばにいられる理由を作って・・・』
     
    風信は驚き、慕情の顔を凝視するが、口は動いていないのに声は聞こえているという状況に確かに毒が原因で耳障りの良い幻聴が聞こえているのだと自身を納得させる。
    が、幻聴は移動中ずっと続き、風信は始終奇妙な居心地の悪さを我慢しなければならなかった。
     
    『庇ってくれたのは嬉しいが、苦しむ姿は見たくないな。』
    とか
    『熱が上がってきている、早く南陽殿に送って良くなるまで付きっきりで看病してあげたい。』
    とか
    『こんなに間近で顔を見られる機会なんてないから、緊張してしまう。
    やはり男らしい精悍な顔だ。苦し気に顰めている表情も普段以上に色気がある気がする。
    って、私は何を考えているんだ!・・・まぁ、こいつは私がお前の顔を好んでいるなんて知らないのだから心の中でくらいは自由に思わせてもらおう。』
     
    等々、ずっと慕情らしくない発言を赤裸々に語られ、聞かされ続け、毒による発熱もあり、
    頭がおかしくなりそうだった。
     

    南陽殿の自室にある牀榻に身を預け、慕情から離れると先ほどまで聞こえていた声が
    ようやく途絶え、一息つく。
    お礼を言わなくてはとここまで運んでくれた慕情に顔を向け、
    「手間をかけたな。助かった。お前も疲れただろう。早く・・・」
     
    (早く帰って休め)と言いかけて、慕情の顔を伺うと眉間に皺を寄せ、
    まるで睨んでいるような表情をしている。
    いつもなら何か怒っているのかと、こちらもイラついて喧嘩腰で早く帰れと言ってしまいそうなところだ。
    しかし、熱のせいで朦朧としていたことと、散々聞かされた自分を慮る幻聴に影響されたのか、とっさに慕情の手を取り
    「早く・・・早く帰城したいだろうが、もう少しここに居てくれないか?」
     
    言ってしまった!と恥ずかしさに俯きながら熱とは別の理由で顔が火照ってくるのを感じてしまう。
    繋いだ手も離す機会を逃してしまい、そのままにしていると部屋に着いてから止んでいた幻聴がまた聞こえはじめた。
    『やった!このまま風信のそばにいられる。
    っっ!というか風信がわ、わ、私の手を掴んでいる!嬉しいが、は、恥ずかしい///でもこのまま繋がっているのも悪くない。』
     
    バッと顔を上げて寝台のそばに立っている慕情を見上げると、風信ほどでは無いが、かすかに頬を染めたドヤ顔で
    「何だ、人恋しいのか南陽将軍?まぁ助けられたのは事実。仕方ないから、この私が看病してやる。心の底から感謝するんだな。」
     
    と機嫌の良さそうな声で笑っていた。
     

    とりあえず医術に詳しい文神に急いで診てもらうと毒による発熱は2,3日で下がり、
    幻聴についても鬼の邪気が毒と共に体内に取り込まれてしまった故の副作用であるので、そのうち消えるだろうが、熱が下がってもしばらくは続くであろうとの診断をくだし、薬を置いて帰っていった。
     
    診断を受けている間、風信には幻聴についてわかったことが2つある。
    一つ目に自分が誰かに触れている時のみ聞こえるという事。
    二つ目に幻聴は触れている相手の心の声で、その人の本心であろうという事。
     
    実際、文神が霊脈を診るために風信の手首に触れている間に、
    『霊脈に異常は無いし、一応熱冷ましの薬だけお渡しすれば問題はないだろう』
    と聞こえてから全く同じことを口を動かして発言していたのだ。
    ただこの幻聴が相手の本心、または思っていることと断定するには慕情の心の声は普段の彼からかけ離れたものであり、あまりにも風信にとって都合の良過ぎる内容であった。
     
    そんな事を考えていると、ふいに慕情の手が眉間に向かってくる。
    「そんな眉間に皺を寄せて、お前の方が鬼以上に恐ろしい顔になっているぞ?」
    と皺を伸ばすように指を添えられた。
    それに驚き、目を開いて慕情を見ると、何がおかしいのかクスっと微かに口角を上げる。
    瞬間、美しいが冷たく無機質な人形に命が芽吹くような暖かい表情に風信の胸は
    何かに貫かれたかのような衝撃を受けた。
    ドクドクと騒ぎ立てる鼓動が落ち着く間もなく、むしろ追い打ちをかけるように例の幻聴が聞こえ始める。
    『考え事をしている険しい顔も男らしい鋭さがまして、いつも以上に…その、かっこいいな///
    いや、そうじゃなく熱で辛いのかもしれない。早く休ませなくては!』

    (あの慕情が俺をかっこいいだと⁉︎)
    余計に熱が上がったように感じるがまだ慕情の心の声を聴いていたい風信は未だに眉間を優しく揉みこむ指を掴んだまま、目を閉じた。
    自身を労わる優しい声が続くのをうとうととした状態で聞きながら、少しもしない間に風信は慕情の声に誘われるように
    眠りに落ちていった。
     
    ふと意識が浮上しつつも、しばらくぼんやりとしているとそばにいてくれると思っていた姿はなく、
    少しがっかりした気持ちでだるい体を起こす。
     
    丸窓の方へ目をやると、今は朝方であるらしい。
    鳥の囀りと朝特有の眩しくも清々しい日の光が未だ熱のある体も多少はすっきりとした気分にしてくれる。
    「はぁ~」
    とため息を吐くと扉の開く音が聞こえ、お盆に水差しと薬と湯気の立ったお椀を乗せて慕情が入ってくる。
     
    「起きていたのか。調子はどうだ?」
    「・・・帰ったのかと思った。」
    「なんだ、起きた時私がいなくてさみしかったのか?子供みたいだな。」
    「そうかもしれないな。」
     
    いつもの嫌味に対して素直に答えると慕情は微かに目を見開いて風信の顔を凝視してくる。
     
    「どうした?まだ調子が悪いんだな?粥を持ってきてやったから食え!そして薬を飲め!」
    「あぁ。」
     
    何時になく従順な様子の風信に心配そうな顔をして慕情は脇机にお盆を置き、熱を測ろうと手を額に当てる。
     
    (まだ熱いな。熱が続いて私の嫌味に言い返す体力もないのかもしれんな。早く粥を食べさせて薬も飲ませなくては。)
     
    慕情は額から手を離すと、粥の入ったお椀とレンゲを持ち、少し掬ってフーフーと冷ましてから風信の口元まで運んでくれる。
    その時風信は寝台横にあった籐椅子に座る慕情の膝に軽く手を置く。
     
    「食わせてくれるのか?」
    「お子様な南陽将軍様は一人では食べられないようだから、仕方なくこの私が食べさせてやってるんだ。
    早く食べろ。死ぬほど苦い薬を飲ませてやる。」
    (起き上がっているのも辛そうだな。私なんかを庇ったせいで・・・風信がよくなるまでそばにいたい。
    でも、こいつは私がそばにいたら休めないよな、薬を飲ませたら帰ろう。)
    居丈高な台詞に似合わない真剣で献身的な言葉を紡ぐ彼の心の声をずっと聴いていたい。
    「・・・私は子供らしいから熱が下がるまで看病してくれるんだろう。」
    暗に帰るなという意思を込めてぼそりと呟くと、
    「クスッ、子供にしては随分デカくていかついな。仕方ないから私が看病してやろう。」
    と弾んだ声で了承の意を述べる慕情に本当に小さい声で「ありがとう」と囁く。
     
    (あの風信がほんとに子供みたいに私に甘えている!かわいい!こんな姿もかわいいし、やっぱかっこいいなんて、
    心臓が痛い!まだ一緒に居られる、どうしよう嬉しい!嬉しすぎる!)
    顔には一切微塵も読み取れないが、内心の荒れ狂いようが面白くて風信の口元が緩むとそれを見てまた慕情の内心が
    笑顔が素敵だ何だとまた荒れ狂う。
     
    薬も飲ませてもらい、お盆を片付けるために一旦部屋を出ていく慕情の背中を見送った風信は
    枕に顔を埋めて唸る。
    「~もう!あいつは何なんだ!普段そんな素振りなんて一切出さないくせに、俺のこと好きすぎだろうが!」
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