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    高i専夏夢
    短い
    微えろ

    【夏夢】夜中にゴムを買いに行く話「ん、んぅ、っん、はぁ……」
    金曜日深夜二時、明日は、というか今日、私も彼女も任務も授業もない。所謂フリーというヤツだ。そんな夜は暗黙の了解で彼女は私の部屋にやってくる。好き合って、付き合っているのだから、ごく当たり前の事だろう。
    「ちょっと硝子に勉強教わってから、お風呂入って行くね」
    と、勉強道具を抱えた彼女に聞かされたのが夕食後。その後なんだか落ち着かなくて、勉強してみたり、部屋の掃除をしてみたりしてから風呂に入った。寮の個室に付いたユニットバスでも良かったが、なんだか週末という事もあったし、共同浴場でゆっくりと人より大きな体躯を伸ばして湯船に浸かった。
    部屋に戻って、髪の毛をドライヤーで乾かしている最中に個室のドアが控えめにノックされた。誰のノックだなんて明白で、ドアスコープを覗きもせずに扉を開けて彼女を迎え入れた。
    今日の任務はこうだった、さっき硝子に教わったところがどうだった、温かな紅茶を淹れて渡せば風呂上がりで火照った彼女の頬は更に赤みを増したような気がした。
    紅茶を飲みながら色んなことを楽しそうに喋る彼女を眺めて、そういえば今週は月曜から水曜まで出張で顔を合わせていなかったな、とふと気付いた。会えなかった時間の寂しさを取り戻すようにニコニコと話す彼女を見てたら、えも言われぬ感情が込み上げて、彼女の両手に包まれた紅茶の入ったマグカップを取り上げてそっと口付けていた。
    んむっと間抜けな声ごと飲み込んで、何度も小さく音を立てて彼女の唇の柔らかさを堪能する。所謂“そういう雰囲気”になりつつあった。
    込み上げる欲情を抑え込みながら徐々にキスを深めていく。キスの合間に漏れる彼女の吐息にさえ欲情して、更に欲情していく。
    ゆっくりと背中を撫で上げて、また下ろす。そして後ろからウエストを掴むように手のひらを彼女の身体の前面に移動させて、触れるか触れないかのタッチで胸をなぞり上げていく。上擦り始めた彼女の呼吸に合わせて舌を伸ばし、彼女のソレと擦り合わせる。掌は首元を撫でて、彼女が着ていたパーカーのジッパーにたどり着いた。そのジッパーをゆっくり、胸の下まで下ろして、中のキャミソールの肩紐をハラリと落とした。
    なんの抵抗もせずに甘い吐息と、時折声を漏らして、いつの間にかキスに集中する為に閉じられていた彼女の瞼が持ち上がる。
    「すぐるくん……」
    しっとりと濡れた声に応えるように掌を頬に当てて、柔らかな彼女の頬を堪能する。フニフニと柔らかな頬を触りながら「良い?」と答えの分かりきった質問をしようとした時、ふととんでもなく大事な事を思い出した。
    夕食後に彼女を迎え入れる為に部屋を片付けた時、確かに気付いた。後でドラッグストアに行かなきゃな、まだ空いてる時間に。なんて思った筈なのに、うっかり、本当にうっかり忘れていた。クソ、悠長に共同浴場に浸かってる場合ではなかった。かと言ってこのまま強行するほどクズじゃないだろ、彼女の身体を優先しろ、ともう一人の自分が語りかけてくる。当たり前だろ。
    「……ふぅーーー」
    「傑くん?」
    長いため息の後、肌蹴させたキャミソールを元通りにし、パーカーのジッパーを一番上までジッと閉めた。
    「ちょっとコンビニ行ってくるよ、君はここで待ってて」
    「えっ、あ、それなら私も行くよ」
    「湯冷めするといけないだろ、私だけ行くから、欲しいもの、ある?」
    「んー、じゃあアイス!」
    「この寒いのに?」
    「寒いけど暖房効いた部屋で食べたら美味しいじゃん」
    聡い彼女は全てを察したらしい、一緒に行きたいという可愛い我が儘を嗜めて、いつの間にかズレて膝から落ちていた膝掛けを戻してやる。
    「暖かくして待っててね」
    「傑くんこそ、風邪ひかないでね?」
    「ふふ、そんなヤワじゃないよ」
    よっこいせと立ち上がり、一番厚手のダウンジャケットをスウェットの上にそのまま羽織った。いってくるね、と再度彼女に声をかけて、背中で扉の閉まる音と彼女の「いってらっしゃい」の声を受け止めた。
    流石に冷えるな。東京とは言えかなりの郊外、山のど真ん中とも言える場所にあるのが呪術高専だ。中途半端に乾かした髪の毛が外気に当たって首が冷える。左手首につけっぱなしにしているヘアゴムを一つ抜き取って、手早くいつも通りに髪の毛を纏める。
    そうこうしてるうちに高専の門をくぐった。寒いし何より余り時間をかけたくない、高専の外ならブザーにも引っかからないし、少し楽するか、と飛行型の呪霊の背に飛び乗り、そそくさと最寄りのコンビニに向かった。
    コンビニの正面ではなく、側面。その駐車場のちょうど街灯の当たらない場所で呪霊から降りて、あたかも歩いてきたようなていでコンビニの自動ドアを通過した。
    ええと、衛生用品は、あったあった。
    カゴを掴みながら目的のそれを物色する。うーん、やっぱりドラッグストアじゃないとサイズがないな……あ、でも0.01ミリのは良いかも、いつもは0.02ミリだしね。いつもより彼女と自身を隔てるモノが薄くなるのは気分が良い。多少サイズが合わなくてキツくても、私が我慢すれば良いだけの事だ。
    さて、あとは彼女のアイス、味のリクエストを聞いてなかったな、適当にバニラ、ストロベリー、チョコレート、甘味好きな彼女の事だ、好きに選んで食べるだろうし、彼女の為に買った物を食べられるのは不本意だが悟も食べるかもしれない。多めに買っても問題ないだろう。
    あとは、水分補給用にスポドリとお茶、とポイポイと迷わずカゴに乱雑に放り入れていく。怠そうな店員にレジを通してもらったらおしまいだ。
    「30円のお釣りになります」
    「どうも」
    「ありがとうございやしたー」
    釣り銭を財布に入れるのも面倒でスウェットの左ポケットに裸で入れておく。右手に買い込んだ品々が詰められたビニール袋を提げて、来た時と同じように闇に紛れて呪霊を使って最短時間で高専へと戻った。
    量の廊下をペタペタとスリッパを鳴らして歩き、適当に手櫛で纏めた髪の毛を下ろす。深夜の静まり返った寮で、やっと彼女とコトに運べる。なんなら廊下を走ってしまいたいのだけど、他の生徒の迷惑になるから、と出来るだけ早歩きで自室へと向かった。
    ガチャリとノックもせずにドアを開けると、携帯を弄っていた彼女がびっくりした顔でこちらを向いた。
    「ただいま」
    上がりそうな息を抑え込んで、笑顔で告げると、びっくりした彼女の顔がふわりと綻んだ。
    「おかえりー!待ってたよアイス、ふふ」
    技と戯けた事を言いながら立ち上がり、小走りで駆け寄ってくる愛らしさを眺めて、急いで良かったと温かな気持ちになった。
    「傑くん、きっと寒かっただろうから、紅茶淹れといたよ」
    「ありがとう、もらうよ」
    返事をしながら冷蔵庫の扉を開ける。買い込んだ品々をポイポイとしまうところを見た彼女が「あ、お茶もある」と無邪気に呟いてスッと手を出した。
    「なに?」
    「アイス、頼んだでしょ?ちょうだい」
    なに買ってきたの?とキラキラした目をする彼女の手にアイスを乗せるわけもなく、右手のビニール袋をスッと上に掲げた。
    「だぁめ」
    「えー!ちょっと届かない!」
    ムキになったように私の身体に自分の身体を寄せて、彼女の背と私の背の差では跳ねても届かないビニール袋を手を伸ばす。……当たってるんだよなぁ、胸が。これが無意識なんだから色んな意味で恐ろしい。一時は薄れた欲情がまたムクムクと大きくなるのを感じながら、彼女の腰を抱きしめた。
    「私が何を買いに行ったのか分かってるだろ?」
    「……あ、ぅん、えっと……ハイ」
    急に恥ずかしくなったのか、距離を取ろうとする身体を片手で引き寄せて、その手でビニール袋に入った箱を取り出した。
    「コレ、使ってから。アイスは後で食べようね?」
    圧があるとよく言われる笑顔で彼女の顔を覗き込めば、赤くなった頬がよく見えた。静かにコクリと頷く彼女に満足して、手早くビニール袋ごとアイスを冷凍庫に突っ込んで、ヒョイと彼女を抱え上げた。
    キャ、と驚いた彼女を軽々ベッドまで運びながら場所をとっても良いから、コンドームはまとめ買いだな、と独りごちた。
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    babinet

    DONE2024年7月13〜15日開催のホンライwebオンリー(ホラ夏)展示小説②

    ※現パロ

    【ネップリ番号】
    50741374
    セブンイレブンにて小冊子印刷(右綴じ設定)で同時公開の「黒い箱」と一冊の小冊子に印刷できます。
    お手元に残したい方はどうぞ。
    期限は7月20日中。
    赤い箱それは、久々に休みの合ったホンゴウと出かけた帰りだった。所謂デートってヤツ。
    お互い中々休みが合わない。夜に飯だけ、家で呑んで泊まるだけ。そんな日々が続いた中で、久しぶりに丸一日を使った外出だった。

    梅雨の頃合いの筈なのに妙に暑い今日。
    ショッピングモールで買い物。映画。美術館。水族館。プラネタリウム。出た案の後半は、男同士のデートにはロマンチックすぎるから、おれたちはショッピングモールで一日を過ごした。
    お互いの夏服を選び、おれのサンダルを買い、休憩におれがアイス、ホンゴウがクレープを食い、本屋でホンゴウがいつも通り小難しそうな本を買い込んだ。
    なんの疑問もなく、日が暮れた頃に自然な流れでおれの家の最寄駅に向かい、馴染みの焼き鳥屋の暖簾をくぐった。涼しい場所で一日を過ごした筈なのに、サウナの後みたいに冷えたビールが喉を通って行くのが心地良かった。
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