「その長い髪は邪魔じゃないのか?」
不法タイムジャッカーを引き渡した後でナハトはそう理人に声をかける。バディを組んでからずっと気になっていたことだった。
「目障りであれば切りますが」
「いや、そうじゃない」
刃物を手にしていれば今すぐにでも髪を切り落としかねない理人の言い方にナハトは苦笑する。
「この通り私自身は髪が短いし、単純に邪魔じゃないのかと気になってね。手入れも手間だろう?」
即座に切ると言い出すところを見るに、取り立ててこだわりがある訳ではないのだろう。にも関わらず、手間をかけてまで長髪を維持しているのが不思議だった。
「確かに手間ではありますが、便利でもあるので」
「便利?」
予想していなかった言葉に思わず理人の言葉を聞き返す。
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