Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    hagi_pf

    @hagi_pf

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🌂 🐳
    POIPOI 79

    hagi_pf

    ☆quiet follow

    イベスト読んだら自分が思ってる以上にヘビー感情な彦さんとそれもまるっと包む論さんが見たくなったよという雨クリ雰囲気らくがき

    #雨クリ
    raincoatClipper

    「……あの、雨彦?」
     鍛えられた逞しい腕の中。後ろからすっぽりと抱きしめられた状態のクリスは、少々戸惑うように雨彦の名前を呼んだ。
    「どうした?」
     そう返ってきた声はひどく穏やかで甘い。後ろを振り向こうとすると、それに応えるかのように顔を覗き込まれて、ミステリアスな色の瞳と目が合った。ふっと満足そうに微笑まれると、照れくさいような気持ちが湧き上がってくる。
    「ええと、この、状態は……」
    「嫌かい?」
    「いえ、嫌というわけでは、ないのですが……」
     よくよく見ると、当の雨彦本人も自分の行動に戸惑っているのか、その瞳にはほんの少しだけ困惑の色が混ざっている。それでも雨彦は、クリスを離してくれる気配がない。
     雨彦の家で一晩を過ごして迎えた翌朝。家を出た後は一人海へ向かおうかと、身支度を整えていたところだった。
     リビングのソファに座る雨彦に呼び寄せられて、クリスは隣に座れということだろうかと近寄った。だが腰を下ろす前に腕を引かれて、気づけば雨彦の膝の上だ。そうして後ろから抱きしめられて、身動きがとれないまま現在に至る。
    「雨彦、どうかしたのですか?」
    「お前さん、そろそろ帰る時間だろう?」
    「そう、ですね」
    「……このまま腕の中に捕まえておけば、ここにいてくれるかい?」
     耳元で低く囁かれて、顔にじわじわと熱が集まっていくのを感じた。クリスを見つめる雨彦の目は真剣そのもので、冗談などではなさそうだ。
    「古論、照れているのかい?」
    「……あなたがこんな風にストレートな物言いをするのは珍しいので」
    「たまにはそういう時もあるさ」
     雨彦はそう答えるが、どうにもしっくり来ていない様子だ。そんな雨彦にクリスが何かを言う前に、身体に回された手がクリスの身体を撫で始めてしまう。
    「雨彦、だ、だめです……!」
     するすると這い上がるような手の動きに、身体の方は素直に跳ねた。たったそれだけのことで、身体に残った昨夜の記憶が引きずり起こされそうになる。
     だってあれからそんなに時間が経っていないのだ。あの熱が戻ってくるのなんて、きっとあっという間のことだろう。
     だが慌てたクリスが雨彦の腕を掴むと、予想に反して雨彦は大人しく動きを止める。そして次の瞬間には、いつもの表情の雨彦が戻ってきていた。
    「なんてな、冗談だ」
    「雨彦……」
    「悪いな。こんな風に離したくないと思ったのは初めてのことで、俺も正直どうしたらいいのかわからないんだ」
     回された腕にぎゅっと力がこもる。少し困ったような顔で笑う雨彦を、今一人にしたくはないなと思った。それだけで、この後の自分の予定なんて全部消し飛んでいって。
    「この腕の中に捕まっていれば、ここにいてもいいのですか?」
     そう聞き返すと、雨彦は思いもよらなかったという顔でクリスを見た。
    「帰してやれなくなってもいいのかい?」
    「ええ、構いません。今は、あなたの側にいたいです」
     本心からそう答える。驚いているような、それでいて喜びも混ざったその表情を、愛おしいと思う。
    「雨彦、もっとあなたが思っていることを教えてください」
     クリスはそれを、叶えたいのだ。
     雨彦の身体に身を預けながらそう言えば、雨彦は敵わないなと言いながら笑った。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💖💖💖💖💖💖💖💖💖💖💖💖😭😭😭😭😭😭😭❤❤❤☺☺💘💘🙏🌠🌠🌠🌠😍😭😭😭🙏💖❤
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works