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    hagi_pf

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    雨クリワンドロ2/12お題:バレンタイン
    微妙な両片思いのやつ。

    #雨クリ
    raincoatClipper

     クリスと二人きりの会議室。そわそわと落ち着かない視線が、時折雨彦に向けられる。そんなクリスの様子に、雨彦は最初こそ気づいていないふりをして、彼がアクションを起こすのを気長に待っていた。
     だが時計を見ると、そろそろ時間切れになってしまいそうな頃合いだ。
     何を切り出すつもりだったかはわからないが、それができなかったとしたら、きっとクリスは落ち込むだろう。はっきりと想像がつくその結末を、できれば避けてやりたいと考えるのは、雨彦にとっては自然なことだった。
    「古論、どうかしたのかい?」
    「あ、いえ、その……」
     今視線に気づいたというように声をかけると、煮えきらない返答が返ってくる。
     だが雨彦が投じた一石は、クリスから動かないという選択肢を消したようだ。意を決したような顔で、クリスは雨彦を見る。
    「あの、これを」
     そう言ってクリスは雨彦に小さな紙袋を差し出した。何を言うつもりだろうと構えていた雨彦も、これには少し拍子抜けをする。雨彦が受け取ったのを確認すると、クリスはひどくホッとしたような顔をした。
    「開けてみてもいいかい?」
     訪ねると、クリスはこくりと頷く。これを雨彦に渡しただけで、クリスは大業を成したかのような様子だった。
    「……チョコレート?」
    「はい、もうすぐバレンタインなので」
     中に入っていたのは、しっかりとした作りの焦茶色の箱。蓋を開けるとそこには、艷やかな色をしたチョコレートが並んでいた。
    「いつもお世話になっているので、そのお礼です」
     クリスにとっては、ユニットメンバーへの日頃の感謝の意味しかないはずだ。それでも意中の相手からのバレンタインチョコレートは、雨彦の心を浮き立たせた。
     思わず表情が緩みそうになるのを抑えて、雨彦は穏やかな笑みを浮かべる。
    「ありがとうな、古論。嬉しいよ」
     素直にそう伝えると、クリスも嬉しそうに笑う。喜ぶクリスと浮足立つ自分だけの空間は少々照れくさかった。
    「それにしても、お前さんもマメだな。もう北村とプロデューサーには渡したのかい?」
    「あっ、いえ。それは雨彦だけで……」
     すっかり気が緩んだ様子のクリスは、雨彦の問いにさらりと答えようとする。だが途中まで言葉を紡いだクリスは、はっとしたように口元を手で覆ってしまった。
    「俺だけ?」
    「いえ、その……ちが……」
     慌てた様子のクリスの顔が、みるみるうちに赤くなっていく。
    「古論?」
     小さなうめき声を上げるクリスの様子から、何も察しないほど雨彦も鈍くはない。
    「古論」
    「あの……つまり、そういう、ことです」
    「そういうこと?」
    「っ、雨彦!」
     クリスの反応を見るに、どうやら今雨彦は随分と意地の悪い、ニヤついた顔をしているようだ。クリスは今すぐにでもこの場から逃げ出したそうな様子だが、このまま逃してやるつもりはなかった。
    「古論、お前さんの言葉で、教えてくれないかい?」
    「う……好き、なんです」
     消え入りそうな声で囁かれたその言葉に、雨彦は思わずその身体を抱き寄せた。
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    27tael

    DOODLETBT見て、レジェとレジェメンって世間様にはもっとセクシークール系だと思われてるのか?と思ってたのと、ちょっと斜に構え彦もいいなのと、ころんさん心も体も素直でかいらくによわそう… と思って書いたいつもとちょっと違う雨クリ…
    「ん、――ッ」
     ねだられるまま唇を合わせて、甘く漏れる吐息を封じる。頬を指の背で撫でつつ顔を離した先で、既にとろけきった琥珀の瞳が、こちらを縋るように見つめてくる。
    「あ、あめひこ♡ もっと、触ってください♡♡」
     ホテルのベッドに背を預けながら告げられる、早々に恥じらいよりも欲がまさった素直なおねだりは、重ねてきた情事で躾けた仕草を思わせてどこか優越感をくすぐる。
     ――ほんの先程まで、メディアに掲載される、自分たちのパブリックイメージに沿った撮影を行なっていたのだ。
     アイドルとしてのレジェンダーズに求められているのは、年長ふたりのミステリアスな大人の余裕、年少のメンバーの小生意気な言動。
     ファンには熱を込めたライブパフォーマンスや、口を開けばもれなく海のこと、という「意外な」気さくさが伝わっているのかとは思うが、おそらく今回のグラビアでもこの男に冠される言葉は『気品ある美貌』『元助教の知性を帯びた笑み』『ここではない水平線を挑発的に見る目』だとか、なんとか。
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