【雷鳴】【雷鳴】
遠くに雷鳴。
窓を打ち付ける雨は激しさを増している。
ガラスの側面を流れる水滴を通して見える坂道が、まるで川のように雨水を運んでいた。
「あ———。めっちゃ雷鳴ってるやん」
「本格的に降ってきてまいましたね」
先程まで全員で作戦会議をしていた生駒の自室には、雨音に混じって隠岐が皿を洗う水音がするばかりだ。
ゆっくりしながら話を詰めようや、といつもの隊室から場所を変えたのが良かったのか、思いの外、話のまとまりが早かった。キリが良い所で、雨が来る前にと生駒からの夕食の誘いを断り、水上達は一足先に帰宅の途についていた。濡れずに済んでいるだろうか、と少し心配になる。俺も残ると言っていた海を引きずるように連れて帰った水上の姿が思い出される。
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