絶対にヨリなんか戻さない!たった今、この瞬間、オレとルークは破局した。
バタンと閉まる扉の音を背後に聞きながら、オレはチッと小さく舌打ちをする。
先ほどまで大柄なムキムキ男がいたからか、1人の部屋がさっきよりも少し広く感じるのが不思議だ。
きっかけは正直覚えていない。
思い出せないほど些細なことから喧嘩になって、そのままヒートアップしたオレが燃え上がるような憤りにまかせて「もうテメーとは終わりだ!別れる!」と叫んだのだった。
もう幾度も喧嘩なんて繰り返してきているオレたちだが、付き合ってから、別れるという単語を使ったのはこれが初めてだった。
大抵喧嘩をする時はどちらかが冷静で、どちらかがヒートアップしている、とかそういうことは一切なく、オレたち2人は全力で喧嘩をするものだから、今日も同様に、相手も頭に血が上っていたのか、半ば勢いに任せて別れを告げたオレに、「ああ、そうだな。別れよーぜ!」と眉を吊り上げて返し、そのまま部屋を出て行ってしまった。
8912